先物・オプションの手口

2015.1.6
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From:中野英
池袋の自宅より、、、

前回は、今年にかける思いについて、
新年のご挨拶も兼ねて書かせて頂きました。

今回から再び、株のお話をしていくわけですが、
2015年の最初の内容は、『先物・オプションの手口』について書きたいと思います。

証券会社に勤務した経験がある方なら
ご存知かと思いますが、約10年前までは、
証券会社内部に限り、普通株式も『手口』が公開されていました。

ちなみに手口とは、
『証券会社別の売買数量』の事です。

今現在は、先物・オプションの手口のみ、
16時ごろ、その日一日分がまとめて公開されています。

手口をどのように利用するかというのが論点ですが、
まずは《間違った情報》について書きたいと思います。

しばしば・・・

『どこどこの証券会社が《1○000円コール》を
大量に持っていて、そのオプションが有利になるように先物を買い上げた』

・・・などと、如何にも作為的な相場操縦が
行われているような報道がされることがありますが・・・

実際は、そのようなことは《100%》行われていません。

その理由を挙げると・・・

① 先物にしてもオプションにしても、
《裸(それ単独)》のポジションを組むなんてことは、まずありません。

② 外資系証券会社のコンプライアンス(法令順守)は、
日系企業よりずっと厳しいです。

言い換えれば、そんな自己のポジションの都合に
合わせるような取引をしたら、即《クビ》です。

①で言いたいことは、《コール》を持っていたとしても、
それは『先物・オプションを組み合わせたポジションの中の一部』であるということ。

言い換えれば、その《コール》が儲かっても、
他のポジションで損失が出ているということです。

《10000コール》を持っていたとしても、
決して『その株価以上になれば儲かる』とは言い切れません。

基本的には、『リスクを最小限に抑えること』を
第一に、利益を追求しています。

《上がれば儲かる・下がれば儲かる》というよりは・・・
『いくらの水準が最も儲かる』という感覚です。

もっと分かりやすく言うと・・・

『動けば動くほど儲かる』

『動かない方が儲かる』

・・・そんな取引です。

なので、特にオプションの手口だけから、
相場の方向性を読むというのは、極めて難しいと言えるでしょう。

それは、先物にも同様のことが言えるのですが・・・

先物の方が、はっきりとした意図が
感じられる『手口』が表れることがあります。

例えば、去年の10月の急落。

その間に、某外資系証券会社が、
日経225先物・TOPIX先物をそれぞれ、《20000枚程度》売ったそうです。

あの短期間に《20000枚売った》ということは、
その間は断続的に売り続けていた・・・

《あの下げの主犯》ということが出来るでしょう。
もし株価が安かったある日の手口で、某証券会社の売りが目立っていたとして・・・

《次の日も安かった ⇒ 同じ証券会社が売っていた》としたら・・・

『もしかしたら、大きな売り注文をもらったのではないか?』

『それが売り切れるまで、売り続けるのではないか?』

・・・と推測することが出来ます。

特に、《TOPIX先物》。
以前に、『TOPIXは、《投資家の市場》』と書かせて頂きました。

その中には、【投機家】に比べて、
運用資金が格段に大きいプレイヤーが存在します。

もし、《TOPIX先物》の手口に、差し引き『2000~3000枚』の
売り越しが続く証券会社が表れたら、要注意と言えるでしょう。

ちなみに、10月の売りは、投資家別売買動向では
《自己》であるということが判明しました。

某テレビで・・

『自己だから、いずれ買い戻す』

・・・などと、訳の分からぬことを話している《専門家!?》を見ましたが。

《自己勘定》ということは・・・

『最初に、証券会社が投資家から現物を
まとめて引き受けて、ヘッジで《TOPIX先物》を売っていた』

『投資家名義を証券会社名義に変えてから、
証券会社が《先物を使って売った》』

・・・ということです。

《ディーラー》というのは、自己の一部であり・・・

『自己 = ディーラー』

・・・ではありません。

《真の姿は見えないところにある》ということを、覚えておいてください。

株ライブの当初の頃のブログに・・・

『積極的投資家・消極的投資家』

・・・という概念について、書かせて頂きました。

株価が上がるのは、
『買い上がる投資家』が存在するからです。

株価が下がるのは、
『売り叩く投資家』が存在するからです。

以前の現物の手口は、リアルタイム情報だったので、
その判別がすぐに出来ました。

しかし現在は、引けた後に
まとめて公表されるので・・・

『どの証券会社が積極的であり、どの証券会社が消極的なのか』

・・・それは、推測するしかありません。

今現在は分かりませんが、10年前は、
証券会社によって、明らかな特徴がありました。

※ 必ず、《上値を買う》証券会社

※ 必ず、《下値に指値をして買う》証券会社

などなど・・・。

そんな特徴を見付けてみるのも、
面白いかもしれません。

あと《先物の建玉》ですが、アービトラージ(裁定取引)に
関係する物が含まれていたりと、こちらも一筋縄ではいきません。

ただ、トレンドが出来るときは、ある証券会社の建玉が
膨らんでいくことが多いので、日々の推移を見ることは、決して無駄ではありません。

ある期間に大量に買い付けて持っている証券会社が、
ある日、まとまった規模の《売り越し》に転じたら、注意を払っておくべきでしょう。

『誰がどんな売買をし、誰がどんなポジションを持っているか』を
推測しながら相場を見るのも、心理が読み取れて面白いものです。

一つの参考データとして、上手く活用して頂きたいと思います。

次回は、自分なりの『企業のIRの聞き方』について、書きたいと思います。

ー中野

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