トレードに影響大!EUの展望を予測するために

2017.2.8
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From:奥村尚
ブダペストのホテルより、、、

おはようございます。

僕は、先週から中欧で経済の
取材を行っているのですが、

1週間ほどチェコ(プラハ)に滞在したあと、
週末にドナウ川を船で下って
ハンガリー(ブダペスト)に移動してきました。

このチェコとハンガリーは類似点があります。

まず、
どちらの国もEU加盟国でありながら
通貨としてのユーロを導入できていない事。

ユーロを導入できないのは
財政赤字が理由です。

マーストリヒト基準といいますが、
赤字国債の新規発行額は
GDPの3%以内に抑える必要があるのですが、
それができていないのです。

実際には街中では
ユーロが流通していて
支払いもカードも
ユーロで済みますが、

小さな商店や地下鉄などでは
現地通貨が必要です。

もうひとつは旧ソ連の影響です。
東欧という共産圏を構成していたのですね。

チェコはプラハの春を旧ソ連が介入し
秘密警察が支配する暗黒の時代になりました。

ハンガリーは
ハプスブルグ帝国で
栄えたのですが

一次大戦で負けた影響で弱体化し
結局ナチスと同盟しソ連と闘います。

戦後はソ連に占領され
支配されました。

どちらの国もロシアに対する
(悪い)感情には特別なものがあります。

東欧とひとくくりにもできません。

日本にいるとあまり気が付かないのですが、

チェコ/ハンガリ―と
ルーマニア/ブルガリアの間には
大きな経済格差があります。

一人あたりGDPはチェコ17600ドル、
ハンガリー1万2300ドル、
下はルーマニア9000ドル、
ブルガリアの6800ドルです(2016 IMF発表)。

国家間で数倍の格差がある。
それがEUなんですね。

ちなみに日本は3万2500ドルで、
フランスやイスラエルより下、
イタリアより上といった位置にいます。

さて、EUを離脱する英国の
最大の理由は移民受け入れでした。

EUは域内国籍をもっていれば、
好きな国に住んで働くことができます。

これは、北海道で生まれて東京で
仕事する事と同じように見えますが、
大きな相違があります。

言葉と制度です。

日本で生まれた限りは日本語を話し、
日本人として受ける法的権利は
どこで生まれても同じですね。

 しかしEUでは各国の制度法律が違うので、
問題が発生しています。

生活保護、子ども手当、社会福祉の制度は
豊かな英独は整っており魅力的なのです。

結果、ルーマニア、ブルガリアから、
英独に移民が殺到しました。

例えばロンドンは人口が増えすぎて
朝の電車は山手線並みの混雑になり、
英語を話せない人が急増し、
病院も待ち時間が倍になりました。

あまり報道されていませんが、
日本もとばっちりを食っています。

2011年以降、英国は人口増加を抑制するため
EU以外からの移民(日本や米国を含む)を
厳しく制限しているのです。

米国で博士号を取得した
高学歴の科学者は移民できず、

無職の英語を話せない
ポーランド人が無条件に移民できるのです。

これに加えて、難民受け入れの問題があります。

EU加盟国は割り当てルール(ダブリン協定)があるのですが、
どう適応するかの法律そのものは
各国で定めているので、うまく機能していません。

年間10万人にも上る難民受け入れを
どう受け入れるか、

今後ルール改変を含めて
EU離脱の選択が各国で議論されるでしょう。

まず移民問題があってその先に難民問題がある。

今年の大きな流れを理解するうえで、
記憶されておくと良いと思います。

今年は、欧州は選挙ラッシュです。

3月のオランダ総選挙、
フランスの4-6月の大統領選と議会選挙、
9月の独連邦選、

今後のEUの方向を、
もしくはEUの存在そのものがどうなるか、
わかってくる年になります。

ブレクジットの時のように、
相場も大きく動く可能性があります。

デイトレードをやっている人には
待ち遠しくて仕方ないのではないでしょうか。

肝心の欧州の経済ですが、
また機会をあらためて、ご報告したいと思います。

では、次回をお楽しみに。

奥村尚

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トレードに影響大!EUの展望を予測するためにへのコメント

  1. 奥村先生おはようございます。いつも興味深いお話をありがとうございます。
    私の友人の御兄はかつて英国で大学講師をしていたのですが、
    同業の奥様共々現在は日本で講師をしているそうです。
    しばらくぶりに友人から近況を聞いてその変化に驚いたのですが、そういった背景もあるのかもしれないと思いました。

  2. きんばらさん、おはようございます。

    関係あるかも知れませんね。
    イギリスのビザ発給制度は毎年変わっていて、住んでいる知人も毎年バタバタしています。今年はタクシーの運転手にも英語の試験を義務図けるそうです。ロンドンのブラックキャブの運転手は厳しい試験があるのですが、それを広げようとしているんですね。英国人にとって、英語話せない人が住居者として存在していることはストレスなんでしょうね。

  3. 奥村先生こんにちは。
    難民問題の前に移民問題。
    世界政治経済については普段トレードするにあたって
    材料として表面的にしか頭に入れていないため、
    このように順を追って問題背景を教えていただけるのは
    本当に貴重な機会となっています。
    そして純粋に1つの問題として考えさせられ、勉強になります。
    いつもありがとうございます。
    今後も勉強させていただきます。

  4. 経済、歴史、今後のこと等、大変勉強になりました。
    調べよう、理解しよう、レベルアップしよう、
    そう思いました。
    ありがとうございます❗

  5. ところが我が国の宰相でも有る安倍総理は、は英国で移民問題が出て居るにも関わらず、外国人労働者受け入れと称する移民政策を推し進めようとして居るのですから、同じ日本に住む国民から見れば何とも困った物で、呆れる話だと感じますよ。
    これは、先に米国が離脱を宣言したTPP法案でも全く同じ事が言えますね。
    大部分の方は、関税撤廃や農協改革、更には安全保障面と言う上での中国包囲網等と言った議員&官僚の詭弁に騙されて居ますけど、あれも、言葉を換えれば、経済植民地法案とも売国法案とも言える訳です。

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