From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
おはようございます。
コロナウイルス問題で、
米中貿易戦争はいったん静かになりました。
コロナウィルス問題の出口が見えてくる中、
再び米国が仕掛けています。
米中貿易戦争は、
実は4年前から兆候がありました。
トランプ大統領の4年前と言えば、
まだ大統領になる前のことです。
実は、トランプ大統領が候補であった時から、
中国との貿易不均衡を問題として
取り上げていたのです。
少しばかり、この貿易戦争の発端を
掘り下げてみましょう。
トランプ候補が大統領になったのち
2017年4月7日、習近平国家主席が
訪米して米中首脳会談が行われました。
その中では、貿易不均衡を解消する
包括的メカニズムの立ち上げに双方が合意し、
米国の対中輸出を増やす100日計画が決定されています。
国家間の約束はトップ同士で行いますが、
実際の進捗作業は選任された閣僚と
実務者で行われます。
この100日計画は、実際の進捗作業を
閣僚にひき渡されたものの
首脳会談から100日たっても進展せず、
要するに失敗しました。
米国は、おおまかな約束をトップが取り付けた後、
実務者が問題を整理しそれを定義する際に、
自らの側が都合よくなるように、
極力意図を読み替え、時には無理難題を吹っ掛けるのです。
強気で妥協をしない中国と
決裂するのは当然と言えましょう。
そこで、8月1日にトランプ大統領は
スーパー301条に基づく調査を行います。
日本は過去、そうした事態に
何度もあっていますが粘り強く交渉し、
少しは挽回するとともに、
その挽回した段階で一気に
契約書に落とし込んでいました。
今にしてみると、ここで中国は
こうした経験が浅いため、
なかなか妥協しなかったのが
まずは選択のミスであったといえます。
2017年11月9日、
今度はトランプ大統領が中国にいき、
再び首脳会談をしました。
2535億ドルの商談を成立させ
米国の赤字を解消しないまでも
大きく削減させる内容で、
合意書が調印されています。
2018年1月22日、米国は中国に対し、
輸入制限を行うため太陽光パネルや
家電に関税を20%課します。
つづいて3月1日、鉄鋼アルミに追加関税をかけます。
この時までは中国だけではなく、
すべての国に対する輸入制限を行っていたので
中国製品と特定した関税ではありませんから、
米中という特定の2国での問題ではなく、
したがって貿易戦争は勃発していません。
2018年3月23日中国は米国に対し、
報復関税をかけます。
米国産の果物に対して報復関税をかけたのです。
この日が報復合戦の始め、初めての攻撃です。
形の上では中国が先に
攻撃を仕掛けたことになります。
これに対して、4月3日米国が受けて立つ形で
中国に特定した報復関税をかけます。
この日が、米国が貿易戦争を受けて立った日です。
2018年3月23日が貿易戦争勃発の日とすると、
今年1月の段階では、1年と10か月経過したことになります。
その長期にわたる戦争を経て、
2020年1月15日、第一段階の
貿易合意を確認しあい、調印しました。
この時すでに、中国では
コロナの犠牲者がでています。
その後、世界中がコロナ問題で
てんやわんやになったのは
皆さんもご存じのとおりです。
そして米国は5月21日、
上院で外国政府の支配下にある企業は
米株式市場の上場を禁止する法案が
全会一致で通過しました。
これによると、米国で上場するには
その企業が政府の支配下にないことを
証明する必要があり、
そのために会計監査委員会の
監査を受ける必要があります。
中国は、中国企業が外国で
監査を受けることを認めていません。
現在、170以上ある中国企業も
上場維持できず、廃止になる可能性があります。
新規公開であれば、はなっから無理でしょう。
この法律はまだ下院を通過していませんが、
可決は確実とされており、そうなると
中国は資金調達で大打撃を受けます。
これに対し、中国企業は、
米国以外の取引所に追加上場をする
動きが活発化しそうです。
アリババはすでに香港に
上場しましたし、JDも申請中です。
さて、トランプ大統領は政府職員向けの
年金の運用の際、ベンチマークとする
株式指数に中国株を含めない事を要請し、
投資サイドからも圧力を強めています。
ここで、米中の株価指数をみてください。
2020年2月3日を100としています。
中国は、きわめて安定しており、
まったく暴落どころか、ちょっとした
下落もなかったということになります。
今回は、過去の経緯をなぞってみました。
また、あらためて
今後の話をしてみようと思います。
今回の話の中にも、
今後を読むヒントはたくさんありますよ。
では、次回をお楽しみに。
奥村尚
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20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。