From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
今年も、もう7か月が過ぎようとしています。
まだ1年を総括するには早過ぎますが、
7か月間の相場を振り返ってみようと思います。
今年は、株式相場は世界的に(日本を除いて)、
正月をピークとして下げ続けています。
なぜそうなったのでしょうか。
明確な理由があります。
これは、チャート分析で
どんなに頑張っても理由は見つかりません。
その理由がわかる人は、
今後の相場を観ることができるでしょう。
わからない人は、
この続きを読んでみてください。
それでは、今年の相場を振り返ってみましょう。
過去を振り返ることで、
見えてくる将来もあります。
振り返りには、
多くの方が使う、チャートが良いですね。
いわゆるチャート分析ではありませんが、
言ってみれば、奥村流のチャート分析です。
ここでは、主要な株式指数を
1月4日=100としてプロットしました。
右軸には、併せて、見ておくべきものとして、
米国の長期金利を添えています。
今年の株式相場は、
米国金利に振り回されてスタートしました。
昨年まで、米国では中央銀行であるFRBが、
コロナで弱った経済への刺激策として
お金をジャンジャン市場にばらまいていました。
当然、金利はゼロです。
景気を刺激するための手法です。
しかし、
物価がずいぶん上がり始めてきたので、
今までの金融戦略を見直す必要が生じました。
金融の緩和を終えて、締め付けへ転換する、
という見直しです。
まずは、バラまきを終える。
これは車でいうとアクセルから足を離すことです。
これで加速が終わります。
次に利上げをする。
これは車でいうとブレーキを踏むことです。
徐々にスピードが落ちてきます。
経済のブレーキとは、
モノを買えないようにすることです。
つまり需要を抑えて物価が上がらないようにする、
ということが目的です。
そのためにFRBが行ったことは、このようでした。
ー2021年11月ー
今後のマネーのバラマキを停止するために、
バラマキ速度の進捗を倍速で進める.
その後に利上げを行い、
徐々に経済を締め付ける。
ー2021年12月ー
利上げを行うのは
4月以降ではなく、3月にも行う。
しかも、
その後行う利上げのピッチは早める
12月の議事録が世に出たのは1月5日でしたから、
経済への締め付けを嫌気した世界中の株式市場は、
この日を境にその後ズルズルと下げ続けました。
この時点では、利上げを嫌気して、
10%程度の下げはあるだろう、
と私も予想していました。
実際、2月中旬までは、
主要指数は10%程度下げていました。
NASDAQは例外で、
金利上昇に特に弱い市場なので、
その1.5倍、15%程度まで下がりました。
そんな状況の中で
2月後半にウクライナ戦争が起こり、
株価はドカンと下がりました。
日経平均は、
この時に今年最安値を付けました。
その後、下げ方向の動きは収まり、
基本的には上昇しています。
しかし、欧米は、
ウクライナ戦争勃発以降も、
下げが続いていますね。
日本とは異なる動きです。
その答えは簡単です。
欧州でも、米国でも、
利上げが続いているからです。
しかも、当初の予想を上回る規模と速度で。
戦争の影響もあり、
物価があまりに急激に上昇をしたからです。
こうなると、物価を守るために、
中央銀行は利上げをズンズンと
進めることになります。
物価を守るのが中央銀行の仕事だからです。
たとえ株価が暴落しようが、
ほぼ関心は示さないことは
過去の事例からも証明されています。
利上げに、株式市場がどこまで耐えられるかは、
企業利益次第です。
米国の4-6期は、なんだかんだ言っても
5%程度の増益が予想されています。
米景気は、わずかながらも
拡大しているということになります。
欧州企業は、戦場が近くにある上、
ロシアのガス高騰による悪影響があり、
かなり苦戦しています。
そんな中で、欧州の中央銀行は利上げを開始し、
その動きは加速する勢いなので、
株価が弱含みです。
これに対し、日本企業は、
特に輸出企業は過去最高を更新する見通しです。
米国の利上げによる円安の恩恵もありますし、
なにより、われらが日銀は、
利上げはしないと明言していますので、
黒田総裁がいる限り、
経済が締め付けられることはありません。
おおざっぱに書くと、
このような流れで、
金利の動きが中心となって
今年の相場は動きました。
このシナリオは、年内は継続します。
今後を観るうえでは、
金利の動向に注目しておく必要がありますね。
奥村尚
━━━━━━━━
『奥村尚の金融リテラシー向上委員会』
毎月1回の放送を視聴して
プロの投資思考を学べる裏番組
※銘柄情報あり※
視聴会員登録はこちら:
https://trade-labo.jp/tl/ifl_2022_b/
━━━━━━━━
・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。