NHKの間違ったニュースに要注意

2023.8.16
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From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

今週は、8月14(mon)から
日経平均が大きな下落でスタートしました。

しかし、その時のニュースは、
違和感のある説明でしたので、これを掘り下げます。

━━━
(a) 8月発表の7月の米CPIが、7月発表より大きくなり、それで米国の利上げリスクが高まった。
(b) だから米ドルが強くなり、円安になった。
(c) それを嫌気して日経平均が下がった
━━━

と説明されていました(NHK)。

このニュースの内容を
a b c 3つに分解して検証してみます。

まず、7月のCPIは、
市場予想より低い値でしたから、

米国の物価は、思っていたより
安定に向かっていることになります。

実際、債券市場では、
利上げ懸念は高まっていません。

つまり、FOMCによる
利上げ見込みは上がっていないのです。

単純化すると、米金利は
上がらないという市場予想なのです。

実際、ドルは、他の通貨に比べて、
強い動きではありませんでした。

aはここまでの米国市場の反応を見る限り、
NHKのニュースは間違っています。

aの部分の市場の説明として、正しくはこうです。

==
【A】
米CPIは予想よりも低い上昇で済んだので、
米国の利上げリスクは上がらなかった。
==

しかし市場では、
ドルは強くなったわけでもないが、
ドル円は上がりましたね(円安)。

したがって、bの部分も間違っています。

bの部分の市場の説明としては、正しくはこうです。

==
【B】一方、ドルは他通貨に対して底堅い動きであった。
==

もう少し加えるなら、

==
【B’】ドル円市場では、ドルの底堅さが過大に反応して円安に進んだ。
==

でしょうか。

cの部分、円安を嫌気して日経平均が下がった
という説明も間違っています。

円安になると、ドル建てで輸出する企業が儲かるので、
日経平均は今まで上がってきたはずです。

そもそも、8月14日は、
円安にはなっていません。

午前の9時台のある瞬間、
確かに円安に動きましたが、

10時以降は一気に円高に進み、
一日全体としては円高になっていました。

したがって、cの部分の市場の説明としては、正しくはこうです。

==
【C】 市場はやや円高に進んだものの、日経平均は下落した。
==

では、下落した原因は、どこにあるでしょうか?

たぶん、為替ではなく、別のものです。

たとえば、

今週発表される中国の経済指標が
ネガティブな材料をもたらすことへの反応。

米長期金利の上昇による
米ハイテク株の弱含みの反応を嫌気。

長引く円安でエネルギー価格が上昇、
輸入物価も上昇するので、それを嫌気。

要するに、
本日の何らかのニュースで下げたものではない
ということがわかるのです。

先週の米CPIの発表とは、
無関係に8月14日の日経平均は下げた、
と判断するのが妥当でしょう。

あまりTVニュースを信用してはいけないのです。

奥村尚

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