From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
おはようございます。
WTI原油の5月物は、
4月に一時期マイナスをつけました。
原油を買うには、お金を払いますが、
そのお金は常に買い手が売り手に支払うものであり、
絶対にプラスの額のはずです。
商品価格がマイナスということは、
買い手がお金をもらって
買うということになりますね。
普通に考えれば、
ありえないことです。
たった1日ではありますが、
4月にそれが現実に起きた。
なぜ、こうしたことが起こったかという話は
既にしていましたので、
その影響を今回は考えてみます。
あらためて、その時の
前後の価格変動も見ておきましょう。
WTI原油がマイナスになったのですが、
これはNYの市場でしたね。
念のため、欧州の原油市場も
見ておきましょう。
北海ブレント、ロンドン市場です。
いずれもドル建ての価格です。
ところで、原油の原価は、
1バレル当たりの生産原価です。
北海ブレントは、海上で生産し、
海の中のパイプラインで送油していますので、
建設や運営コストが圧倒的にかかります。
通常の油田では最もコストがかかった油田ですが、
北海ブレントは、1バレル50ドルが
ブレークイーブンとされています。
WTIは、陸に油田があるのでコストが安く、
これより10ドル下で40ドル。
中東は昔からの設備を
そのまま使っている油田が多く、
さらに10ドル下で30ドルが
ブレークイーブンとされています。
シェール油田は、
最も競争力が高い油田でも
50ドルとされています。
現時点で、北海ブレントは
30ドル台前半で取引されています。
これを下まわると、
生産するだけ赤字というわけです。
つまり、ほぼすべての油田が
赤字運営になっていることになります。
赤字になってまで生産するのは、
意味がありませんね。
当然に生産を停止したいのですが、
原油施設のプラントの運転を一度止めると、
再稼働まで時間がかかります。
コストも余分にかかりますから、
ただちに止めるわけにもいきません。
これは、鉄鋼の高炉の運転に似ています。
ちなみに、シェールオイルは、
地中深くまで掘って取り出していますが、
こちらの方は、水道の蛇口を止めるように
簡単に停止できるようです。
相場的な見方をすると、
原油は過去7年間に2回急落しています。
長期的にみると、
段階的に下がっている感じがあります。
2008年はリーマンショックの影響です。
2014年は100ドルが50ドルになりました。
この時石油メジャーは、
損益分岐点100ドルを企業努力で
半分50ドルに引き下げました。
やればできる、とも言えますが、
今回の下落に合わせて、
さらに半分の25ドルに引き下げるのは無理でしょう。
今回の原油安の影響は、
投資の世界に大きくかかわっています。
経済を石油に依存する国は、
財政赤字になります。
国債も発行するでしょうが、
原油安の中では良い条件で発行できません。
そのようなとき、一番わかりやすい行動としては、
今持っている資産を売却して
キャッシュを絞り出すことになります。
つまり、
・ファンドに出している出資金を取り下げる
・手持ちの株を売却する
・他国の債券を売却する
などです。
これが実際に一気に起こると、
国債は下落、株式も下落します。
これを大げさに言う
エコノミストも大勢います。
幸い、サウジがIPOしたアラムコは、
IPOが成功し、
時価総額2兆ドルを達成しました。
十分に資金調達できたはずです。
(ただし、5/11日現在、
3/8のIPO価格を少し下回っています…
とはいえ、本当にわずか程度ですから
心配ないと見ています…)
来週、5月19日に、
WTIは再び期先物(6月)の決済期日が来ます。
今の状況で買い向かう投資家は少ないはずです。
将来、相場が戻るとしても、
昨年のように60ドルに戻るという
期待はできないからです。
しかし、底固い水準に
来ていることは確かなのですから、
どう考えても下落リスクよりも
上方にいく期待の方が大きいはずです。
先月と異なり、カラになっている
倉庫(つまりタンク)とは契約が進んでいて、
今回はマイナスになることなさそうですが、
仮にマイナスになっても、瞬間の出来事であり、
あたふたすることはないと市場では思われています。
度胸のある人は、
ひとまずCFDやETFで買ってみるのも良いと思います。
奥村尚
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・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。