From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
ロシアとウクライナの、
現場における戦況は
ニュースでみて知ることしかできません。
戦争現場の情報や知識もないので
予想をすることも困難です。
でも、
その周辺で起きている、
ITメディアとか金融領域での戦いなどの、
結果は予想できるものです。
ロシア国債が
デフォルトに近づいていますね。
結果どうなるでしょうか?
まず、
金融制裁とデフォルトの関係を、
少しばかり解説しておこうと思います。
金融制裁されると、
経済が回らなくなり、
いずれデフォルトになります。
デフォルトとは、
あらかじめ約束した期日に
約束した元利金の支払いをしなくなること
をいいます。
デフォルトになるのは、
ロシア政府が発行したロシア国債です。
ロシア国債を保有する投資家は、
既にある債券の保有をしなくなりますので、
投げ売りします。
したがって、
流通するロシア国債は暴落します。
政府側は、
それはそれで困りますが、
もっと困るのは、
新たに国債を発行できなくなる事です。
デフォルトになると、
機関投資家はレギュレーション上
その債券を新たに買い入れることはできません。
『新発ロシア国債の買い手がつかなくなる』
という事態です。
政府が国債を発行して
一時的な借金ができないと、
手持ちの資金でやりくりする
ということになります。
政府の財源は、
国債が発行できない以上、
あとは国民からの税金のみです。
税金ですから毎日入金されるわけでもなく、
多くが一年に1回の入金でしょう。
入金があるまで、カネは使えません。
一方では、
既存国債の利払いには
期日があるので、
決められた日に
決められた額の利払いが必要です。
仕方ないので、
政府が持っている資産を
売却するしかないのですが、
海外の資産は凍結されています。
国内に資産はあると思いますが、
ロシアという国に存在する、
橋とかビルなどを買ってくれる人はいません。
カネがない時に借りる事ができないと、
国家として支払いがなにもできなくなるぞ、
ということです。
国家でさえ、
こうなってしまうのですから、
ロシア企業への新規出資もなくなる
ということです。
結局、経済にも、国民にも、降りかかります。
金融制裁はキツイのです。
ただし、
今スグに効果があるものではなく、
既に開始した戦争を遂行するだけの
体力の蓄えはあるので、
ロシアは準備した体力を
使い切るまでは遂行能力があります。
体力を使い切る前に決着をつける必要がある、
という事にもなるでしょう。
2014年のクリミア半島侵略の際は、
金融制裁はありませんでした。
経済制裁だけだったのです。
その制裁も限定的でした。
でも、それだけで
2014年のクリミア半島侵略時
↓
・ルーブル 50%下落
・インフレ率 50%
・長期債利回り 14%
に、それぞれ急上昇(=悪化)しています。
それ以降、
特に2019年以降の経済は
エネルギー価格高騰の波にのって、
国家の収入としては好調で、
今に至っています。
過去の話ではありますが、
1998年(いわゆるロシア通貨危機)にロシアは、
一度デフォルトしましたが、
その時ヘッジファンドは大きな損を出し、
世界的な金融不安で急激な円高にもなりました。
1997年12月〜2000年12月
↓
・ルーブル 80%下落
・インフレ率 92.7% (1999)
・長期債利回り max 110%
この時は、
特に国際経済からの排除があったわけではなく、
単に国債がデフォルトしただけでこうなりました。
今は、まだ以下のような状況です。
2022年初来
↓
・ルーブル40%下落
・インフレ率 (勃発後時間経過していないため計測不能)
・長期債利回り 20%
このまま突き進むと、
戦争が仮に終結しても
制裁は解除されないはずで、
インフレ率は、
クリミア侵略時より大きくなりそうです。
98年のように100%を超える可能性があります。
ルーブルの価値も
今後さらに下落するのは確実です。
1998年のように80%下落するとしたら、
ロシア国内にあるルーブルベースの国民の財産は
通貨下落だけで 20%になります。
加えてインフレが100%に上昇すると
10%にまで下がる計算になります。
これはロシア国民の財産は、
『1/10になってしまう』
ということです。
今年末には、
そうなっている可能性がある、
ということになるでしょうか。
奥村尚
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・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。