資本市場と2020ノーベル経済学賞の関係

2020.10.14
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From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

2020年のノーベル経済学賞は、
なんと、オークション理論でした。

これについて、
いろいろ思ったことがあります。

まず、予想だにしなかった分野で
ビックリしました。

オークション市場は、
今後重要なビジネスになってゆく
と思いますが、

ノーベル賞を出すほど、
理論でも重要な分野である
といえるのです。

オークションといえば
最も普及しているのは、

英国式オークション
(価格競り上げ式オークション)
と呼ばれます。

サザビーズやクリステーズのような、
絵画や骨とう品のオークション
がこの方式です。

一方、

バナナのたたき売りは、

オランダ式オークション
(競り下げオークション)
と呼ばれます。

政府の払い下げなどは
封印形式のオークション、

ヤフオクは自動入札
(ネットオークション)です。

いろいろな方式がありますね。

実は、

資本市場でも普通に使われます。

東証やニューヨーク証券取引所では、
株式の売買を成立させる方法として、
古くから使われてきました。

価格優先、時間優先
という競争売買ですね。

===============
価格優先
===============

買う側は、なるべく高い株価
を指値して提示する人を
優先して権利を与える。

売る側は、なるべく安い株価
を指値して提示する人を
優先して権利を与える、

という価格優先が
まずルールとして定められます。

===============
時間優先
===============

次のルールは、おなじ価格で
売りたい人に関しては、

最初に提示した人から
どんどん権利を与え、
約定させる時間優先が定められます。

このルールは、世界の市場で
オーダードリブン(注文駆動型)
として普及している方法で、

オークションの一つの方法です。

全ての市場参加者に
公平に機会が与えられる
メリットがあります。

東証、ニューヨークの他、
ユーロネクスト、多くのアジアの
証券取引所が採用しています。

一方では、

オーダーが入らない時には
売買が成立しないので

値段が付かない状況
が発生する欠点があります。

そこで、マーケットメイク方式
という方法も普及しています。

この方法は、マーケットメーカー
という値付けを行う業者が

買いと売りの価格を提示し、
市場参加者からの買いや売り
の注文を受け付けるという方法です。

各銘柄に関して、
マーケットメーカーが
必ず一人以上いて、

必ず市場参加者の注文に
応じないといけません。

必ずマーケットメーカーが
価格をつけるので、

クォートドリブン(気配駆動型)
と呼ばれます。

クリック365、Nasdaq、
ロンドン証券取引所が採用しています。

そして、多くのFX市場も
この方式です。

外国に行くと、
飛行場にある銀行で、

We sell JPY 106
We buy JPY 103

などと、レートを提示していて、
そうした銀行が並んでいますね。

あれです。

大証FXは、マーケットメーカーが
提示するレートのほかに、

オークション方式で、
一般投資家が出した指値注文も混ざる
ハイブリット型が採用されています。

今回、このオークションに関して、

出品者の経済的な最適化と
応札参加者のチャンスの公平化を

併せ持った手法に関して
の理論が評価されて、

ノーベル経済学賞が与えられました。

このテーマは、素晴らしい観点である
と同時に、従来のノーベル経済学賞
の受賞分野とは一線を画しています。

既存分野(いわゆる
ミクロ経済、マクロ経済、
あるいは、金融理論や投資工学)

は欧米が圧倒的に進んでいて、
日本は完全に劣後しています。

こうした分野ではノーベル賞は
一生無理、とさえ思います。

しかし、もしかすると、
今回のようなテーマであれば、

日本からもノーベル経済学賞
が出る可能性がある、
と思います。

奥村尚

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