From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
7月31日の株価終値を100とすると、
その後、日本株は
大きく下落しました。
その時、世界の株式が
大暴落したかのようなニュースが
日本でつたえられていますが、
本当にそうでしょうか?
この時の動きを観察し、
仮説を立てるのは
今後を観るうえでとても重要なので、
このブログで考えてみようと思います。
7月31日に、日銀が利上げを発表し、
それが暴落を引き起こしたという
ような見方が伝わっているのですが、
事実と異なります。
7月31日の昼に、
すでにニュースされていました。
しかし、相場は
前日比+575円で終えています。
日銀の利上げというビッグイベントは、
少なくとも当日の株式相場は
好感したわけです。
日本株が大きく下げたのは、
8月1日です。
これは、
前日(日本時間7月31日の深夜)に
発表された米国の製造業の雇用統計や、
失業率が悪化して、
NYdowが下落したからです。
NYdowが落ちたのはわかります。
米国のマクロ経済状況を示す
重要な指標が悪化したのですから。
それを受けて、日本が
下落するのはいつものことですが、
その下落をみると、
半端な下落ではありませんでした。
世界の主要指数を比べてみましょう。
(7/31-8/9,7/31=100)
これと時系列の時事をみるかぎり、
次の仮説が成り立ちます。
① 7月31日に、
日本でニュースされた日銀の利上げは、
当日の昼には、日本に伝わったのだが、
実は理解されなかったので、
当日は素通りした。
夜のニュースでこれは大ごとだ、
と認識し、翌日は売りとなった。
② 加えて、NYが500ドルを
超える大幅な下げであり、
しかも、このまま
米国がリセッションにむかうか
のようなニュースもあったので、
日本株がパニック売り一色になった。
それだけではないのでしょうが、
そんなところでしょう。
しかし、それだけで、
「日本株だけ」が非常に短期間に
2割も下がったのは、
何か別の理由があったに
違いありません。
③ 日銀が、今後ガンガン
金利を上げて経済を停滞させ、
日本を不況に陥れ、
株式市場からお金を吸い上げる恐怖
もあったのだろうと思います。
実際、植田総裁が、
さらなる追加利上げを行うと
受け取れる発言を31日にしています。
その疑心暗鬼は、
日銀の内田副総裁が、
7日の金融経済懇親会(函館市)で、
払拭されました。
そのおかげて落ち着いてきたのです。
これはつまり、日銀の、総裁個人の
痛恨のテクニカルミステイク、
言いかえるとオウンゴールです。
市場との会話に失敗し、
市場が暴走し暴落を引き起こした。
あまりの暴落に、
財務省、金融庁、日銀の幹部が、
緊急会合をしたのですが、
結局、内田副総裁が
コメントを出す形で収めた。
そんなところだと思います。
本来は、総裁の口から、
「あれは言い方が悪かった、
必要ないのに金利を上げることは
するはずがない」と
一言いう勇気をみせるべきでした。
なにしろ、昭和の株高をつぶし、
経済の失われた30年をつくった主犯は、
日銀と当時の大蔵省なのです。
「民よ、日銀はあの時の誤りは
二度としない」と
言い切ってほしいものです。
奥村尚
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・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。