From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
今年3月4日、
終値ベースでは初めて
日経平均が4万円台に乗りました。
終値ベースでは
4万円台を維持できたのは、
3月4日を含めて3日だけでした。
その翌週3月11日(つまり先週月曜)
日経平均は大きく下がり、その週を終え、
そして今週に入っています。
そして今週
大きく上げている最中というところです。
3月11日は
NYが下げたから
日本も大きく下げたのですが
その後はあまりNYとは関係なく推移し
今週の上げは、
NYとは関係なく上げたものですね。
大きな下げは世界に伝搬する、
でも上げはその時次第。
ということだけは、
今も昔も当てはまるように思います。
さて、先週のblogでは
1987年10月のNY発
ブラックマンデーに関して掘り下げました。
ブラックマンデーは、世界に伝搬し
世界中が大きく下げたのですが
先週の下げと同じく
日米大きく下げたわけです。
下げは伝搬するが、
上げはその国独自の理由であり、
主要先進国で
いち早くもとの水準に戻したのは
日本でした。
そして、
ブラックマンデーの
水準に戻しただけではなく、
さらにズンズン上げて
バブルピークである
38915.87円(89/12/29)を迎えます。
1988年11月まで
2万円台であった日経平均は、
たった1年で1万円も上げて行くのです。
この時の推移をあらためて、
見ておきましょう。
1988-89年に、
何があったのでしょう。
時代背景とすると、
グローバルには企業を中心とした
・通信ネットワークの発展
・ワープロからパソコンへの切り替わり
・世界人口の爆発的増大
・環境問題の深刻化
などがあります。
しかし、これらは特に
1988年に突然起きた問題ではなく、
88年に限ってという出来事は、
特になにもありません。
では、
こんな株高がなぜ起きたのでしょう。
ひとことでいうと資産効果です。
1985年のプラザ合意で、
米国の要求(というより言われるがまま)を飲み
ドル安円高を受け入れ、
米国の貿易赤字を減らすことに協力します。
その時点で242円であったドル円レートは、
1988年初には128円台にまで進行し、
輸出企業は壊滅的な打撃を受けます。
その萎む景気を刺激するために
日銀はどんどん利下げし、
戦後最低(といっても今から見ると高い水準)の
公定歩合2.5%となり、お金がどんどん回り始め、
投資にも向けられました。
株価の上昇、
不動産価格(特に地価)の上昇です。
例えば株。
1985年に電電公社が民営化され
NTTになりましたが、その2年後
1987年2月にNTTが東証に上場しました。
政府が売り出す株だから損しない
という思い込みがあり、
株式を初めて買う人が
この銘柄に群がったものです。
案の上、119.7万円で
売り出されましたが
人気殺到で抽選が行われました。
実際、当たって買った人は儲かりました。
僕自身も、当時大学院生でしたが
買ったのを覚えています。
二か月後には
318万円まで値を上げ、
その時点で世界最大の時価総額となりました。
そして、不動産。
不動産バブルは、リゾート開発にも及び
日本中あちらこちらにスキー場が新設
あるいはコースが増設され
必ずリゾートマンションが立ち並び
リフトやゴンドラは
山手線並みの大混雑になっていたものです。
1988年というと
首都圏における自宅は
あまりに値が上がって
とても買えるものではなく、
シーマという
日産が発売した高級車が
(家の)代替品としてよく売れました。
ブルの現象としては
シーマ現象というのが
当時を表現していると思います。
当時の価格で
1台500万円を超える
高級車が売れに売れました。
トヨタもセルシオを発売し、
バブルのニーズに答えました。
この頃の社会風刺は、
今でも時々TVで紹介されますね。
余談ですが、バブルの紹介というと
必ず芝浦のジュリアナ東京のお立ち台が
紹介動画で採用されているのですが、
この店は1991年にオープンしたので、
実際にはバブルの後に生まれた店です。
同じ芝浦であればGOLD(1989open)とか、
六本木のトゥーリア(1987open)あたりの方が
バブルの申し子としてふさわしく思います。
なお、NTTは、上場後
ブラックマンデーで225万円に下落し、
90年代初頭には100万円程度に低迷しました。
ちなみに、
今のNTTの株価とは比較できません。
当時から今にかけては、
NTTdataやドコモを分社化したり、
NTT自身も株式分割をしているので株価では判断できません。
そのうえ、今までに投資家に配当した
お金のキャッシュフローも
考慮しないと比較できないのです。
ただ、時価総額で見るなら
90年代初頭の会社価値は、
今のNTTの価値と同等か
わずかに今の方が上
といったところでしょう。
奥村尚
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・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。