From:中野英
池袋のトレードルームより、、、
おはようございます。中野です。
本当に寒い時期がやってきましたね。
先日は朝、自宅の窓を開けると
濃霧で真っ白な世界でした。季節を感じます^^
この季節は食べ物も本当に美味しい。
先日、赤羽某所でとても美味しい牛タン屋に行きました。
詳しくは編集後記で・・・
それでは、
今日は、『相場に参加している投資家』を知って頂き、
そのあと
『出来高・売買代金の増減』と、
『相場の質』の両面から、その動きが
『どの投資家の行動によって生み出された物なのか』を判別してみたいと思います。
まずは、《投資家》と〈投機家〉に分類しましょう。
分かりやすく表現します・・・
投資家と投機家の違い
《投資家》は、年金基金・銀行・生保・損保・投資ファンド・
一部の個人などの、『現物株を買って長期保有する参加者』となり・・・
《投機家》は、ヘッジファンド(CTA)・金融機関の
ディーラー・デイトレーダーなどの、『短期売買を繰り返す参加者』となります。
最初の回で話した通り、株価は・・・
投資家が、『現在の株価より安い株価で売らなければ』下がりません。
もし、ある株の株主が全て、『会社の成長』や
『優待・配当』を目的とした長期保有の《投資家》で、
『売る意思がない』もしくは『今現在よりも高い値段での提示しかしない』としたら・・・
☆ その株を買いたい投資家は、現在の株価より高い株価で買うしかありません。
つまり、《投資家》の買いによって上昇した株価は、その株がなかなか売りに出されないため・・・
《上げても下がりにくく、安定した上昇が見込める》 ・・・ことになります。
それに対して、
《投機家》が行動を起こす動機は短期での『値動き』ですから、
『上昇が止まる気配を見せれば』もしくは『株価が下げ始めた』としたら・・・
☆ その株を持っている意味と同時に、
その株を買う理由もなくなります。そして、売る時は、
『高く売る』ことではなく『安くてもいいから早く売る』ことに重点が置かれます。
つまり、《投機家》の買いによって上昇した株価は、
その株が早いうちに売りに出されてくるため・・・
《上げても下がりやすく、不安定な値動きになる》・・・ことになります。
そこのところをまず頭に入れた上で、相場を振り返ってみます。
投機家の動きから相場を読み取る
まずは、去年の年末の動きを見てみます。
予想を大幅に上回る10月のアメリカ雇用統計を受けて、
11月12日から《CTA(商品投資顧問)》と呼ばれる
非常に投機色の強いヘッジファンドの『円売り・225先物買い』が始まりました。
日本で動いている《CTA》は、
為替と225先物での運用がメインで、
高度なシステムを用いた機械的な運用を行っています。
そして重要なことは、ファンドの資金規模は
大小様々ですが、CTAは《のれん分け》で広がっているらしいという点です。
つまり、あるファンドで働いていた者が
独立してヘッジファンドを作り、同じ様なシステムを使って運用する。
言い換えると、
『あるファンドで導き出された答えと同じものが、
他のファンドでも導き出されているかもしれない』ということです。
そして、去年の11月12日から年末にかけて、
様々なCTAの『円売り・225買い』と、その動きに乗り遅れまいとする
《邦銀(日本の銀行)》の『円売り・225買い』で、16300超えの水準まで駆け上がっていきました。
しかし、ここで考えてください。
この時に買い上げた投資家は、
CTAと呼ばれる《投機家》です。
様々なCTAが同時に同じような行動を
起こした結果、凄まじい勢いで上昇しましたが、CTAは長くは保有しません。
買いが途切れて上昇が止まってしまえば、
今度は『値段を構わずに』売ってきます。
結果、今年の1月、今度は《CTAの売り》によって、
日経平均14000円までの急落となりました。
よく、『先物主導の上昇・下落』という
言葉を耳にすると思います。先物には、TOPIX先物と
225先物がありますが、一般的に『先物主導=225先物主導』を意味します。
上記の通り、225先物は主に《投機家の世界》です。
先物主導の上昇が、危険をはらんでいると言われるのは、それが理由です。
『先物主導』の上昇の時は、TOPIXに対して
日経225の上昇率が高くなるので、その比較で比べることになります。
もう一つの特徴として、先物主導の時は
『現物の商いが膨らまない』傾向があります。
『現物の商い』が膨らんでいる相場ならば、
CTA以外の投資家も参加しているため、まだトレンドが期待できます。
『現物の商い』が膨らまなければ、
ほとんどCTAによる上昇であるため、常に下落に気を付けなければなりません。
5月の下落の本当の理由
今度は、5月の下落を見てみましょう。
5月は、現物株の商いが非常に薄い、『投資家不参加』の相場が続いていました。
そんな相場での下落だったのですが、
特に目立っていたのは『円高・日経225安』の下落でした。
つまり、5月の下げは、
CTAを主とした『投機家の売り』による下落でした。
そして、5月21日の引け後の日銀総裁の会見によって、
さらなる『円買い・先物売り』が発動されたところで・・・
国内年金による、『円売り・先物買い』が始まりました。
『投機家』は、売ったものはすぐに買い戻します。
『投資家』は、買ったものをすぐには売りません。
この時点で、どちらが有利であるかは一目瞭然です。
しかも、CTAと年金の資金規模は、比較にもなりません。
どちらに軍配が上がるかは、誰の目にも明らかです。
その後、CTAの買戻しと年金買いにより反転し、
そこからは年金資金の買いを主体とした安定した上昇が始まりました。
最後に10月の相場を見てみます。
10月1日より、TOPIX型と言われる売りが出始めました。
TOPIX型売買から読み取れること
TOPIXとは、
『東証一部の全銘柄の株価』を基に算出される数値です。
つまり、『日本株を売買している』というような
《投資家》の行動が、より反映される数値ということになります。
TOPIX型の売買が出るということは、
『日本株全体を売買出来る』ような投資家が動き始めたことに他なりません。
その資金規模は、恐らく大きなものだろうということは、
容易に想像できます。普段そんなに動くことがない、巨大な投資家が動き始めたのです。
買うとしたら相当の額を、売るとしても
相当の額を売るに違いありません。
つまり、TOPIX型の売り(買い)が出てきたら、
それは《投資家》が動き出した証であり、『しばらく続くかもしれない』と
考えておくべきというのが結論になります。
そしてその規模は、『売買代金』に比例します。
売買代金が多いほど、その投資家の資金量が豊富で、
ゆっくりですが長く力強い動きが続くと推測できます。
最後にまとめると・・・
☆ 225は《投機の世界》であり、
『先物主導』の相場は、勢いはあれど長続きはしない
☆ TOPIX(現物株)は《投資の世界》であり、
『TOPIX主導』の相場は、ゆっくりと息の長い相場が続く
・・・ということになります。
日経225とTOPIX・現物株の売買代金などから、
『どのような投資家』が『どのような行動を起こしているのか』を
推測できると、その後の相場展開が非常に読みやすくなるはずです。
ぜひ、感じ取れるようになってください。
次回は、『日銀の追加金融緩和』と『GPIFの新たなの運用方針』との繋がり、
そしてそれによる今後の相場・経済への影響を書きたいと思います。
■■ 編集後記
グルメがとても好きで、
特に肉が大好きなのですが、
最近はこってりした肉よりも
あっさりした牛タンの方が好みかもしれません^^
特に牛タン、テールスープ、
麦ごはんの3点セットは鉄板ですね!
今回行った、牛タン屋では
ガッツリ食べる嗜好ではなく、
居酒屋のような
色々なものを順につまむ嗜好で楽しみました。
あえてゴハンは食べず、牛タンのソーセージ、
牛タンの辛つまみ、牛タンのゴマ和え、牛タン焼き、
そしてお漬物を食しつつ、最後はテールスープで身体を温める。
セットをガッツリというのも
良いですが、最近はこういった
食べ方を楽しんでおります^^
株式投資も、
色んな楽しみ方があります。
今回の食事ではないですが、
パターン化されたトレードではなく、
一気にセットを食らうのではなく、
それぞれの美味しい部分(良い部分)を
その時の心境(相場・市場参加者の心理)に応じて、
より効果的なトレードによって
結果が全く変わってくることも多いです。
ー中野
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