From:中野英
池袋の自宅より、、、
早いもので
1月も半ばに入りました。
10月31日の追加緩和以降
続いているレンジ相場から、
なかなか抜け出せませんね。
今年に入ってからは特に、
狭いレンジの典型的な《逆張り相場》となっています。
世界的なマーケットの変調から、
日本マーケットにも断続的な売りが
出続けているのですが・・・。
そのほとんどを《日銀&年金》
コンビが買い受けるという構図。
日本の伝統でもある《PKO(株価維持政策)》と
いうものですが、《運用の高度化》などを議論したはずなのに・・・
今のところ《運用スタイル》は
昔と全く変わりません。
そもそも、《運用》ではないのですが・・・。
外国人投資家が『安くてもいいから売りたい』
と言うのだから、売らせておけばいいのです。
実体価値以上に株価が下げれば、
そこに初めて収益機会というものが生まれるものですね。
『上がらない・下がらない』では、
それは《マーケットの機能と魅力が失われる》だけというものです。
それ以上に、損失に繋がらなければ良いですね。
1992年以降のPKOにより発生した、巨額損失のように。
一応、レンジを抜けるシナリオとしては・・・
① アベノミクスにより日本経済が好転し、
外国人投資家の買い(+日本人投資家の買い)に
よる上昇相場が始まる ⇒ 上昇
② 世界情勢の混迷・アベノミクスへの失望などで、
《日銀&年金》の資金以上の売りが出てくる ⇒ 下落
昨日も、後場に年金が
まとまった買いを入れてきたようですが・・・
②に付則を加えると、
《日銀&年金》は体力こそあれ・・・
※ 日銀の《ギア(一日に買う資金量)》がほぼ一定
※ 年金のギアも、日銀よりは機動的ですが、
それでも《急加速》などは出来ません
つまり、『一日にまとまった売りが出てくると、その時点では支えきれない』
・・・その点だけ、注意してください。
余談が入りましたが、今日は少し
『板から、その後の値動きを読む』方法を書いてみたいと思います。
相場に携わっていれば、必ず耳にすると
言っても過言ではない言葉があります。
※ 株価は、板の厚い方に行く
つまり・・・
① 買い板が厚ければ《株価は下落方向へ》
② 売り板が厚ければ《株価は上昇方向へ》
・・・ということになります。
『板の厚い方に付け』なんてことが
書かれている本もあるようですが、
実は、相場によってはそれが正解の時もあります。
とりあえずは、板が
厚い方へ行く、典型的な例から。
今年の1月7日 【 6495 宮入バルブ 】
この日の後場、180円を
挟んで、こんな板をしていました。
売り 買い
500000 185
300000 184
200000 183
20000 182
181 15000
180 10000
179 20000
178 30000
この時点で、《約40円高》。
ストップ高は《193円》です。
出来高も、相当膨らんでいました。
日中足チャートは、《180円》を挟んだ
動きが、1時間程度続いていたでしょうか?
質問です。
皆さんがこの銘柄を
保有していたとして、
この板を見て、どうしますか?
売るか、それとも売らずに様子を見るか。
《売る》という方が多いのでは?と思います。
実際、自分の教え子でもあり、
隔週木曜日に、一緒にニコニコ動画で
株番組の生放送をしている《DAICHI君》から・・・
『これ、持ってるんですが、どう思いますか?
買ってくると思うのですが、見ていて売りたくなります。』
・・・というメッセージが届きました。
そして、自分の答えは・・・
『これは、買ってくる鉄板パターンだよ』
どうして鉄板なのか、
《投資家心理》を交えて説明します。
まず、《売り方》の立場にたって。
シンプルに、この板を見たら・・・
『売りたい投資家がたくさんいるように見えます』
そして、この薄い《買い板》
『買いたい投資家が少ないように見えなくもありません』
※誰かがまとめて売ってきたら、急落する
そう考えるのが、普通なのかもしれませんね。
しかし、ここで考えてみてください。
厚い板があるということは・・・
『その株価で売りたい投資家がたくさんいる』ということです。
しかし決してそれ以上の意味はなく、
まず滅多に、この売り注文が《値下げされてくる》ということはありません。
つまり、厚い売り板があるからと言って、
《どんどん売り叩いてくる》わけではないのです。
そしてもう一つ。
ディーラーとしての経験からですが、
もし日ばかり(デイトレ)にするつもりで、
この板で【100万株】持っていたとしたら・・・
『とてもではないですが、我慢して持っていられません』
つまり、この板で1時間も、
大した売りが出ずに下がらないということは・・・
『どうしても売りたいような投資家は、いない可能性が高い』
・・・そういうことになります。
そして、買い方の立場の話を。
買い方が、買い板を作らない理由は・・・
『株の保有者を、上記のような心理にさせて、売りを出させるため』
『自分以外の投資家に、買わせないため』
・・・その二つに尽きます。
つまり、『少しでも安く・少しでも多く』買いたいが故に・・・
『売りたくなるような & 買いたくなくなるような板を作る』
注文は恐らくシステムが出していますが、
その奥には、綿密な《心理戦》が繰り広げられているのです。
自分がディーラーだった頃には・・・
『ディーラーが買ったと同時に、買い板が消えて・売り板が出てくる』
・・・そのようなシステムが存在していました。
東証が、金融機関向けサービスで、システム
(委託注文)と手動(自己《ディーラー》の注文)を
色分けして板情報を提供していたのです。
つまり、《買いっぱなし》の委託注文と、
《買ったら売る》ディーラーの注文が見分けられたので・・・
※ ディーラーが買ったら、『売りたくなるような板を作る』
・・・そんな恐ろしいシステム(笑)が、開発されたのですね(゚Д゚;)
今も、そのシステムは
健在なのでしょうか?
なお、今勝ち残っているディーラーは、
板を見て判断する機会がグッと減ったそうです。
それでもまだまだ、
板情報から判断できる《癖》は存在します。
また、板情報について書く
機会を設けたいと思っています。
ー中野
深いですね~~~
勉強になりました。
私はトレードに興味を持ち始めて一年半、相場に入りはじめて約一年。
新米ですが頑張っています。
いろいろありますが、これからもやり続けていきたいです。
中野さんのブログ記事は、いつも考えさせられたり目からウロコだったり、
私がこれまで読んできたトレード本や他にはないものがあり、
良いです。有難いです。ありがとうございます。
ブログ記事、これからも楽しみにしています。
お返事、ありがとうございます(^◇^)
この前、ニコニコ動画の放送に一緒に出演している若い男の子のトレーダーが・・・
『最初に会った日に3時間くらいお話しをしたのですが、その時の話で相場の本質というものが分かりました』
・・・と話してくれました。
何を話したのかは、はっきりと覚えていないのですが(^^;
恐らく《心理》について話したと思うので、早く皆さんにもお話しする機会が訪れたら・・・と心待ちにしています。今も共に掘り下げていますが、突き詰めていくと、無限のパターンと可能性が秘められていることが分かってきます。
楽しくなって、しかも結果が付いてくる世界だと思いますので、今後もぜひ一緒に切磋琢磨して行きましょう!
いつもブログを楽しみにしています。
投資について勉強しながら実際投資もおこなっています。
投資家の心理を読むということからシナリオを作っていくということが難しく感じています。
買い方が買いの板を作らない、とは?あえて高値で買いにいかないということですか?
株の保有者を上記のような心理にさせて というのは値を下げてまで売らないということですか?
この心理は買い手が演出するのですか?またできるのですか?
自分以外の投資家に交わせないため、不特定多数の投資家(買い手)が皆このような戦略を考えて
いるということですか?
それで株価が下がらないのですか?もしそのなかでまとまった数の買いが高くても買ってきたら
どのような動きになるのでしょうか?
売りたくなるような&買いたくなくなるような板をつくるとは どういうことなのでしょうか?
板というのは誰か一人が作るものではないのですよね?
各投資家の注文状況が集計された状況が提示されているのですよね?
そのあたりのメカニズムを初心者視線でお教えいただければ幸いです。
Kazu様、コメントありがとうございます!
まずは、大幅に上昇する・下落するという動きをするときは、バブル・バブル崩壊時を除いて、大抵どこか一か所の投資家(証券会社)が、まとまった注文を出しています。
証券会社は、その投資家の注文を受けて発注するわけですが、もし単純にVWAP(その日に約定した全ての取引の平均単価)で投資家に渡すという内容だった場合、証券会社はVWAPより安い平均単価で買うことが出来れば、その差が《利益》となります。
つまり、あるデイトレーダーがある株価で買ったものを、その株価より高い値段で買ってしまったら、もしそのトレーダーがいなければもっと安い値段で買えた訳ですから、その差が証券会社の《損失》となります。
なので、出来る限り、証券会社は安い株価で買いたい。
そのために、他の投資家には安い株価で売らせたい。
発注するシステムを作るのはSEなので、心理まで考えているかは分かりませんが、《板が厚い方へ行く》という習性がある以上、そのような発注の仕方をした方がより安く買える(より高く売れる)という結果が出ていることは間違いないところです。上手くいかないシステムは、すぐに使われなくなってしまいますから。
出来る限り安く買いたいのは全ての投資家に共通なので、ぎりぎりまであえて高値は買いにいかないと言えます。
ただ、今日中に《これだけの株数を買ってくれ》というような注文を受けますので、その株数が膨大だった場合ストップ高になったりするわけです。
値を下げてまで売らないという言葉の意味は、例えば朝に、ある株価に売り指値をして仕事に出たとします。そして仕事中は、株価は見ません。
そのような売り注文が100万株あろうが1000万株あろうが、決して《値下げされてくる》ということはありません。
ただ、デイトレーダーなどはその板を見て、『もうこれ以上は上がらないかな?』と考えるわけです。
このデイトレーダーが膨大な株数を持っていれば別ですが、普通のデイトレーダーの株数くらいでしたら、株価は崩れません。
つまり、そのような投資家に『下値を売らせる』わけですが、すぐに買われるので、株価は崩れません。
買い手が演出というより、『買い注文を出している証券会社のシステム』が、より安く買うための最善の方法で注文を出している・・・ということです。
まとまった買い注文が入ってきたら、どうなるかはそうなってみないと分かりません。
以前に聞いた話ですが、そのようなシステムを逆に利用して、『絶対に誰も買わないだろう』と思うようなまとまった売りを全て買って、システムを混乱させて、膨大な利益を上げていた投資家(ディーラー?)がいたとか。
混乱するのは、自分(システム)が買うはずだったまとまった売りを別の投資家に買われて、『その買えなかった分をどこから買い集めるか』で混乱してしまうのですね。
しかし、その投資家の行動が《株価操縦》とみなされてしまったとか。
聞いた話なので、真偽のほどは分かりません。
誰か一人で板を作るということではなく、その日のその瞬間の板から、システムが最善の発注方法を判断するだけです。
つまりそこには《癖》があり、『パターン』があっても何ら不思議はないということです。
※ 『人間が作ったシステム』と『生身の人間の頭脳』の戦い
そう言い換えてもいいかもしれません。
自分が良く使う表現なのですが・・・
『相場を動かすのは、目に見えない注文です』
『本当に買いたい人・本当に売りたい人』は、出来る限りその気配を殺そうとします。
先回りして買われない(売られない)ように。
気配を消す=板に表れないようにする⇒《板を作らない》
そのようにお考えいただければと思います。
人の心理には《答えがない》ので難しいと言えるかもしれませんが、逆に言えば『自分が見て感じること』が普通の心理であり、『それを逆手にとることが利益に繋がる』と言えます。
今後、ブログや、もし直接お会いする機会があればその場で、より掘り下げた話を出来たらと思っています。
今後とも、末永く宜しくお願いします。