From:中野英
池袋の自宅より、、、
前回は、今年にかける思いについて、
新年のご挨拶も兼ねて書かせて頂きました。
今回から再び、株のお話をしていくわけですが、
2015年の最初の内容は、『先物・オプションの手口』について書きたいと思います。
証券会社に勤務した経験がある方なら
ご存知かと思いますが、約10年前までは、
証券会社内部に限り、普通株式も『手口』が公開されていました。
ちなみに手口とは、
『証券会社別の売買数量』の事です。
今現在は、先物・オプションの手口のみ、
16時ごろ、その日一日分がまとめて公開されています。
手口をどのように利用するかというのが論点ですが、
まずは《間違った情報》について書きたいと思います。
しばしば・・・
『どこどこの証券会社が《1○000円コール》を
大量に持っていて、そのオプションが有利になるように先物を買い上げた』
・・・などと、如何にも作為的な相場操縦が
行われているような報道がされることがありますが・・・
実際は、そのようなことは《100%》行われていません。
その理由を挙げると・・・
① 先物にしてもオプションにしても、
《裸(それ単独)》のポジションを組むなんてことは、まずありません。
② 外資系証券会社のコンプライアンス(法令順守)は、
日系企業よりずっと厳しいです。
言い換えれば、そんな自己のポジションの都合に
合わせるような取引をしたら、即《クビ》です。
①で言いたいことは、《コール》を持っていたとしても、
それは『先物・オプションを組み合わせたポジションの中の一部』であるということ。
言い換えれば、その《コール》が儲かっても、
他のポジションで損失が出ているということです。
《10000コール》を持っていたとしても、
決して『その株価以上になれば儲かる』とは言い切れません。
基本的には、『リスクを最小限に抑えること』を
第一に、利益を追求しています。
《上がれば儲かる・下がれば儲かる》というよりは・・・
『いくらの水準が最も儲かる』という感覚です。
もっと分かりやすく言うと・・・
『動けば動くほど儲かる』
『動かない方が儲かる』
・・・そんな取引です。
なので、特にオプションの手口だけから、
相場の方向性を読むというのは、極めて難しいと言えるでしょう。
それは、先物にも同様のことが言えるのですが・・・
先物の方が、はっきりとした意図が
感じられる『手口』が表れることがあります。
例えば、去年の10月の急落。
その間に、某外資系証券会社が、
日経225先物・TOPIX先物をそれぞれ、《20000枚程度》売ったそうです。
あの短期間に《20000枚売った》ということは、
その間は断続的に売り続けていた・・・
《あの下げの主犯》ということが出来るでしょう。
もし株価が安かったある日の手口で、某証券会社の売りが目立っていたとして・・・
《次の日も安かった ⇒ 同じ証券会社が売っていた》としたら・・・
『もしかしたら、大きな売り注文をもらったのではないか?』
『それが売り切れるまで、売り続けるのではないか?』
・・・と推測することが出来ます。
特に、《TOPIX先物》。
以前に、『TOPIXは、《投資家の市場》』と書かせて頂きました。
その中には、【投機家】に比べて、
運用資金が格段に大きいプレイヤーが存在します。
もし、《TOPIX先物》の手口に、差し引き『2000~3000枚』の
売り越しが続く証券会社が表れたら、要注意と言えるでしょう。
ちなみに、10月の売りは、投資家別売買動向では
《自己》であるということが判明しました。
某テレビで・・
『自己だから、いずれ買い戻す』
・・・などと、訳の分からぬことを話している《専門家!?》を見ましたが。
《自己勘定》ということは・・・
『最初に、証券会社が投資家から現物を
まとめて引き受けて、ヘッジで《TOPIX先物》を売っていた』
『投資家名義を証券会社名義に変えてから、
証券会社が《先物を使って売った》』
・・・ということです。
《ディーラー》というのは、自己の一部であり・・・
『自己 = ディーラー』
・・・ではありません。
《真の姿は見えないところにある》ということを、覚えておいてください。
株ライブの当初の頃のブログに・・・
『積極的投資家・消極的投資家』
・・・という概念について、書かせて頂きました。
株価が上がるのは、
『買い上がる投資家』が存在するからです。
株価が下がるのは、
『売り叩く投資家』が存在するからです。
以前の現物の手口は、リアルタイム情報だったので、
その判別がすぐに出来ました。
しかし現在は、引けた後に
まとめて公表されるので・・・
『どの証券会社が積極的であり、どの証券会社が消極的なのか』
・・・それは、推測するしかありません。
今現在は分かりませんが、10年前は、
証券会社によって、明らかな特徴がありました。
※ 必ず、《上値を買う》証券会社
※ 必ず、《下値に指値をして買う》証券会社
などなど・・・。
そんな特徴を見付けてみるのも、
面白いかもしれません。
あと《先物の建玉》ですが、アービトラージ(裁定取引)に
関係する物が含まれていたりと、こちらも一筋縄ではいきません。
ただ、トレンドが出来るときは、ある証券会社の建玉が
膨らんでいくことが多いので、日々の推移を見ることは、決して無駄ではありません。
ある期間に大量に買い付けて持っている証券会社が、
ある日、まとまった規模の《売り越し》に転じたら、注意を払っておくべきでしょう。
『誰がどんな売買をし、誰がどんなポジションを持っているか』を
推測しながら相場を見るのも、心理が読み取れて面白いものです。
一つの参考データとして、上手く活用して頂きたいと思います。
次回は、自分なりの『企業のIRの聞き方』について、書きたいと思います。
ー中野