【誤解が多い】数理モデルは〇〇が肝!

2021.7.14
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From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

1994年に、LTCM
(Long-Term Capital Management)
というヘッジファンドが設立されました。

当時ソロモンブラザーズは、
全米でも最大級の稼ぎを
達成していた投資銀行で、

中でも半分の収益を
債券部門が稼いでいました。

ソロモンは
米国の債券の帝王と呼ばれたのですが、
LTCMはその会社の債券部門を率い、

副社長でもあったメリウェザーが
提唱し設立した会社です
(ソロモンの債券チームには
現マネックス証券の社長もいました)。

LTCMは、
マイロンショールズ、ロバートマートンら
(どちらも1997年ノーベル経済学賞)
と作り上げた数理モデルで

年平均40%のリターンを4年連続で達成し、
世界に名をとどろかせました。

この数理モデルは、
いまでいうフィンテックですが、
当時はクォンツと呼ばれていた分野です。

株式や債券などの証券は、
刻一刻と値が変わるのですが、

その変わり具合で
リターンとリスクが計測できます。

リスクに見合ったリターンがあるもの(相対割安)、

そして、無いもの(相対割高)という分類をし、

割安を買い、割高を売る、
という運用をしました。

アービトラージという手法です。

LTCMはこの手法で、
4年間で資産を4倍に増やしました。

フィンテック、当時でいう
クォンツ手法で成功したわけですが、

結局は破綻してしまいます。

それをもって、
クォンツは役に立たない、
フィンテックは無駄だ、
という発言する人が多々います。

それは、結果だけを見ているからです。

重要な歴史なので、
その経緯を知ることも重要です。

金融に限らず、

数理モデルというのは、一定の前提を置き、
その前提をもとに数字を組み立てます。

その前提が狂うと理論が成り立たないのです。

その成り立たない部分を切り取って、
だからダメ、というのは
思考としては正しくないでしょう。

たとえば、

よく見るロケットの打ち上げですが、
大雨、強風、雷が出たりすると、
中止になりますよね。

ロケットは、いろいろな力を計算して
目的航路が最適になるように打上日時
を計算します。

計算の前提として、
嵐や台風の強い影響は考慮しません。

だから、前提となる状況になるまで、
打ち上げを順延するのです。

(興味のある人は、JAXAのHPに
ロケットの打ち上げのための
天候条件が記載されています)

LTCMも似ています。

ただ、嵐がロケット発射後に来てしまった。

LTCM破綻の直接の原因は、
1997年に起こったロシアの通貨の暴落です。

それによって
ロシア国債のデフォルトが発生、暴落した。

前提にしていた価格では
債券取引されなくなり、
理論通りの値付けにならなかった

ということですね。

LTCMの破綻は、

理論が役に立たなかった
というのは間違いなのです。

むしろ、

1.うまくいきすぎてお金が集まりすぎた。
2.うまくいった手法を周りのライバルも
 マネしだして、収益性も差別化しずらくなった。

この2つの要素が想定外であり、
結果として、先進国だけではなく、
新興国の国債市場にまで運用を広げた。

理論の前提が狂うような投資先を
選んでしまったのが問題でした。

ロシア国債にまで手を出したのです。

タイミング悪くロシアの通貨が暴落した。

結果、

ロシア国債が値が付かなくなるほど暴落した。

理論の中では想定外だったのです。

適度な規模で運用を続けていたら、
欧米の債券で運用はまかなえたはずですから、

ロシア国債の暴落の影響を極小にできたはず

でした。

破綻前は、自己資本46億ドル、
運用資産は1000億ドルを超えていました。

取引の元本は1兆4千億ドルに達していました。

LTCMのマネをした取引も広がっており、
類似取引を合わせた全体の損失は
さらに大きな規模でした。

金融恐慌につながることも危惧されました。

あまりに大きすぎる規模であるため、
FRBは、金融市場の混乱を防ぐために
いったん銀行団(シンジケート団)に

LTCMに36億ドルの資本注入をしました。

破綻が確実なLTCMに資本注入をした
シンジケート団の株も暴落しましたが、

このお金は9割が1999年に回収できました。

FRBも1998年9月から
短期金利を3回連続引き下げ、

2000年にLTCMを清算できました。

いきなりの倒産を避けることができ、
ソフトランディングは成功しました。

LTCM破綻には理由があり、
その理由を知らずに、クォンツは
(あるいはフィンテックは)ダメだ、
というのは短絡的でしょう。

私は、

クォンツは適度に使う限り非常に有効だ、

と考えています。

奥村尚

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