From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
バーナンキ元FRB議長が
ノーベル経済学賞(2022年)
を受賞しました。
FRB議長という実務の役人が
ノーベル賞をなぜ受賞できたのでしょうか。
実務をしているだけなのに
なんだか不思議な気もしますよね。
役人というより
政治家と言い換えれば
すこしは理解しやすいかもしれません。
ノーベル平和賞を
政治家が受賞するのだから
納得できるのです。
バーナンキ元FRB議長は
デフレ対策をする際、
「お金をヘリコプターでバラまく」
という【フリードマン学説】を支持する
新自由主義派です。
フリードマン自身も
1976年にノーベル経済学賞を
受賞していますが、
フリードマンの学説は、
——————————————————————-
経済はルールで規制せずに
自由に行わせるのが良い、
政府の規制は全く必要ない
政府部門は経済を統制しようとせずに、
お金の量だけを調整するだけでよい
——————————————————————-
という考え方です。
規制緩和や民営化への
大きな流れの背景となるものでした。
この考えは画期的で、
現代資本主義に
大きな影響を与えました。
英国では1979年に
サッチャー首相が断行しました。
米国では、小さな政府を目指す共和党と
方向性が一致していますが、
1981年に就任したレーガン大統領も
減税、規制緩和を推し進めました。
1982年に総理大臣となった中曽根首相も、
国鉄、電電公社、専売公社を
民営化しました。
小泉内閣で郵政を民営化したのも、
この学説に従った行動です。
2008年に起こったリーマンショック時の
FRBの資産購入(お金のバラマキ)
コロナショック時の金融緩和など、
現在もこの学説は支持を得ています。
バーナンキ氏は、
スタンフォード大学で助教授を経て
プリンストン大学教授、
全米経済研究所の監督も
務めた経歴をもっています。
その後、2002年にFRB理事になり、
2006年にはFRB議長に就任しました。
2008年のリーマンショックに対し、
お金を市場にバラまいて
金融システムの
【崩壊をやわらげる】
という金融政策を主導。
2014年までFRB議長を
2期8年務めました。
そのあとのFRB議長は、
ジャネットイエレン(FRB 2014-2018)で、
現在の財務長官です。
その後任がパウエル議長であり、
2018年から2026年までの
2期務めることになっています。
バーナンキ氏は、
現在シカゴにあるヘッジファンドの
アドバイザーを務めています。
彼がノーベル経済学賞を
受賞できるのであれば
ボルカー氏(FRB 1976-87)も
その功績は大きいでしょう。
長年のインフレを沈下させ
株式の時代を作り上げたからです。
ボルカー氏も
受賞する権利があるはずです。
しかし、現実には既に没しているため
受賞できないのが残念です。
グリーンスパン氏(FRB1987-2006)
はどうでしょうか。
FRB議長を5期も務め
米国の経済発展を支えました。
ブラックマンデーを
乗り越えた実績があり、
【金融の神さま】と言われ、
彼はまだ健在です。
日銀の黒田総裁においても、
欧米の利上げに屈せず、
あくまでも日本経済のために
「利上げをしない」
その強い精神力は素晴らしいと思います。
彼も新自由主義を標榜しており、
コロナ対策として、
経済にお金をばらまき続け、
どの国も行っていない事を成し遂げ、
成果を挙げています。
何の成果を挙げたのか?
それは、
————————————————–
日銀が日本株式を買い続け、
大きな成果を上げたことです
————————————————–
ものすごい利益を
もたらしています。
35兆円(簿価)の株式を運用。
株価はその後、日経平均で
1万円も上昇しています。
時価換算ではなんと50兆円。
実に「15兆円」の運用益です。
原資は日銀の信用創造です。
以下は昨年ダイヤモンド誌に
寄稿しました。
これがヘッジファンドだと、
こんな報酬を得ることができます。
35兆円を運営した管理費収入として
2%=7000億円もらえます。
日銀全職員で山分けしても
一人1億5000万円。
税引後7000万円
といったところです。
成功報酬はもっとすごいです。
ファンドの運営で、
元本を超えた部分は、
その20%が成功報酬となります。
15兆円の利益の2割=3兆円
を報酬としてもらえます。
これをチーム全体で分けますが、
黒田さんはファンドマネジャーなので、
手にするのはその中の約3割。
1兆440億円が成功報酬
と計算できます。
素晴らしい仕事をしたと
言えますね。
1兆円の現金を、
ヘリコプターに積んで、
日本中にばらまいくことができたら、
なんて素敵なことでしょう。
話がズレてしまったので
今週はこの辺りで
失礼します。
奥村尚
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・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。
大変失礼ですが申し上げます。
ベン・バーナンキ氏が「新自由主義学派」であるというくくりについては、
間違ってるとしかいいようがありません。
第二次世界大戦前の米国発大恐慌は、FRBの通貨供給不足が原因の一つで
あるというるとうM・フリードマンの主張を受け入れたにすぎません。
市場の流れにまかせるのが最良などとは主張してません。
「ヘリコプター・ベン」と揶揄された彼の主張・学説についても、数量的
に示された理論であることをご理解して評価していただきたいです。