From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
モノの価値というものは、
通常、一定の期間定まった値で
取引されます。
しかし株式は、
なぜ刻一刻と
価格が変化してゆくのでしょうか?
「株式はなぜ時価があるか」を
説明するために
時々この定式を引用しています。
株価を説明するのに、
最も重要な公式です。
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株式の価格(株価) = 利益 x 買いたい気持ち
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利益の見通しは
一日に何度も変わらないとしても、
買いたい気持ちは
刻一刻と変わるので、
株価の短期的な動きは、
「買いたい気持ちの状態を示したもの」
と言えましょう。
その気持ちを数値化する手段は、
あまり多くありません。
通常は「変動する価格を既にある」とし、
その価格で、利益を割って逆算するのです。
しかし、それでは
その買いたい気持ちの値を
価格から逆算するだけです。
本当は、買いたい気持ちを先に
なんとかして数値化し、
その数値に利益をかけて
理論価格を編み出したいのです。
そのひとつの答えになるであろう
「恐怖指数」は大変有名です。
株式を取引する私達にとって、
ボラテリティインデックス(Volatility IndeX,VIX)のこと
と言えばわかりやすいかもしれません。
米国の株式指数である
S&P500の変動率を、
オプション市場の取引から
算出するリスク(=ボラティリティ)として
表現する数値です。
この先30日の変動の大きさを
数字で表して、
大きい数値であるほど、
「悪い状態で下落する予期が大きい」
としています。
大きな数字は恐怖が強くなり
「株式市場は下落する」
という法則が成り立っています。
これと似たものに、
「悲惨指数」というものがあります。
ミザリーインデックスとも呼ばれます。
「Misery IndeX,(MIX)」と呼んでおきます。
「インフレ率」と「失業率」を
合計した数値を
「生活困窮度の悲惨さ」
として表す指数です。
インフレ率は、
CPI(よりマニアックにはPCEコアデフレータ)を
使います。
ここでは、
米労働省発表のCPIと
雇用統計の値を使って
ニューヨークダウ(NYdow)も
合わせてみました。
さっそく見てみましょう。
見方は、「恐怖指数」と似ていて、
「MIXが大きな数字になる」ほど、
悲惨さが上がるので、
「株価は下がる」というわけです。
MIXがピークに達すると、
「株価は底をついて上昇に転じる」
という見方でもあります。
逆に、MIXが下落してボトムに達すると、
株価が上値を付けて下落に転じます。
米国の失業率は過去最低であり、
MIXの値はまだまだ、
下落余地があります。
この指数は、
経済学者 Dr.Arthur M. Okun(1928-90,米)が
発見したもので、
もともとは、
「GDPが3%変化すると失業率は1%逆方向に変化する」
というものでした。
現在は、
指数の数字に「インフレ率」と「失業率」を
足したものを使い、
その数字が「悲惨さ」を
表すもので、
10%を超えると生活が圧迫され
経済に対する国民の不満が高まり、
「20%を超えると政権をひっくり返すパワーになる」
とされています。
いまの悲惨指数は、
「不満が高まっている状況」
となっています。
しかし下落傾向です。
米国のインフレ率は、
「既にピークを打った感」があり、
今後下落していきます。
つまり、
「MIXはもっと下落を続ける」
と言えるでしょう。
米国株は、
不思議なほど上昇しています。
いずれ、どこかで、
MIXはボトムを付ける事になります。
その時は、
「米国株が下落に転じるときではないか」
という見方のひとつの根拠になるでしょう。
奥村尚
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・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。