From:中野英
池袋の自宅より、、、
前回は、デイトレに活用できる
『板情報から読み取る投資家心理』についてお話ししました。
ぜひ、《一日持ち越すか否か》を
判断する材料にもして頂ければと思います。
今回は、『裁定取引(アービトラージ)』に
ついて書かせて頂きます。
しばしば、『裁定買い』『裁定解消売り』と
いう言葉を聞くことがあると思います。
これは・・・
① 《先物と現物》が
② 将来のある時点(SQ日の寄り付き)で
③ 同価値になる
・・・ことを利用して、価格差が生まれた瞬間に・・・
※ 高い方を売り
※ 安い方を買う
・・・このような取引を、システムが
行うことによって出てくる注文のことを言います。
ちなみに、売りも買いも全て、
《現物ベース》での名称です。
裁定取引を行う際には、金利なども
考慮して行われるのですが、ここでその点については触れません。
《225先物と現物間》の裁定取引など、
膨大な資金がないと行えませんので・・・。
裁定買いが入る仕組みを、
225ベースで説明してみます。
(分かりやすいように、先物と現物は《常に同価値》とします)
先物と現物は、異なる市場で、
異なる参加者の売買によって、価格が変動しています。
つまり、《常に》と言っても
過言ではないほど、価格差が生まれていることになります。
ここで、一瞬にして、
『先物にまとまった買い』が入ったとします。
その瞬間、『現物の価格がそのままで、
先物の価格だけが上がる』という現象が起きます。
そして、その《コンマミリ秒》後に・・・
※ 価格が高い《先物》を売り、価格が安い《現物》を買う
・・・というシステムが発動します。
現物に買いが入るので、
これを『裁定買い』と言います。
それとは逆に、先物に売りが出て・・・
※ 価格が高い《現物》を売り、価格が安い《現物》を買う
・・・というシステムを、『裁定解消売り』と言います。
『裁定買い残』というものが定期的に
公表されていますが、買い残が増えるということは・・・
※ 先物の買いによって相場が上昇した色合いが強い
・・・ということになります。
そして以前に書きました通り、225先物は・・・
『投機の世界』です。
《裁定買い残が増える》ということは、
《投機家の『225先物買い残高』が増える》と置き換えられるかもしれません。
過去のデータを検証して・・・
『裁定買い残がどの程度以上になったら、急落するリスク増大』
・・・などのアノマリーを探すことが出来るかもしれませんね。
225先物の裁定取引を簡略的に
説明させて頂きましたが、ここからは少し、
『私たちが出来る』裁定取引のお話を。
私たちが出来る裁定取引は、225先物と
現物間の取引ほど確実なものではありませんが、
それでも非常に有用性の高いものです。
良く行われているのは、
《同業種間》の裁定取引です。
売り・買い銘柄の選別方法として、代表的なものは・・・
① 業績
② 株価
しばしばチャートでも、同業種の
二つの銘柄が、全く《逆相関》の動きをしていることがあります。
恐らくそれは、『裁定取引のポジションの構築』か
『ポジションの手仕舞い』のどちらかだと思われます。
『業績を確認して』のポジションの
構築は、決算発表シーズンによく見られます。
大抵の場合は・・・
※ 悪かった方が売られて
※ 良かった方が買われます
『上げるときは一緒に上げるはず、
下げるときは一緒に下げるはず』という
前提のもとに、二銘柄を比較して・・・
※ 業績が良い方が、上昇する時の勢いが良いはず
※ 業績が悪い方が、下落する時の勢いが良いはず
つまり・・・
《利益・大》 & 《損失・小》
・・・『どちらにいっても儲かるはず』
というポジションになります。
《はず》であるところが、225先物と
現物間の裁定取引と、決定的に異なるところですが。
他には、《株価指標の割高・割安》で
銘柄を組み合わせる方法もメジャーです。
あとは、過去のデータで、
ある銘柄間の株価の関連性を検証して・・・
※ 必ず、《1:2》の株価に収束する
・・・などの習性を見付けられれば、
その関係から外れた時に、裁定取引を行うことになります。
ただし、《金利》などの手数料を徴収されますし、
その他の機会損失もありますので、それを計算に入れて、
収益が上がるようにポジションを構築しなければなりません。
『ある程度のまとまった資金を、
安定的に運用したい方向け』の手法と言えるでしょう。
あとは、《業績や過去の株価の
推移などを検証する作業》は必要不可欠です。
ある程度の経験を積んだディーラーが、
スタイルを裁定取引(さや取り)に変える話をよく聞きます。
やはり、特にデイトレを長年続けていると、
《疲労の蓄積》と《衰え》が付きまってきますので・・・。
なお、《同業種間の裁定取引》を例に
挙げましたが、もちろん《異業種間》でも全く問題ありません。
《裁定取引を極めること》は・・・
※ 負けないスタイルを構築すること
・・・それと同義語と言っても過言ではないので、
少しづつでも学んでいって頂ければ嬉しく思います。
ー中野