キジも鳴かずば撃たれまい

2020.3.18
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From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

3月13日(金)、日経平均は
最安値 16690.6まで下がりました。

この時のPBRは、0.804です。

いろいろな理由で下がったわけですが、
どのような理由にせよ、過去にPBRベースで
ここまで下がった例は一度もありません。

要するに、戦後最安値の瞬間でした。

さて、週が明け月曜日の朝になったとき、
FRBの声明が飛び込んできました。

FRBが緊急利下げ
決めたという発表です。

(米国東時間)3月15日、
FRBは声明で1%という
かつてない大幅な引き下げを発表。

引き下げ後の金利は
0-0.25とした、というものでした。

まさか。

私は驚きました。

「これは、おそろしい無駄撃ちになる」

そう直感しました。

NYダウをただちに確認してみると、
このようになっていて、さらに驚きました。

1,000ドルの上げではなく、
1,000ドルの下げになっていたからです。

今回のFRBの対応を、
トランプ大統領は「素晴らしい」
評価しています。

14日に大統領は、

「FRBに追加利下げを要求したうえで、
ㅤ言うことを聞かなければパウエルFRB長官を
ㅤ解任する権限がある」

と発言していますので、
プレッシャーをかけたのでしょう。

FRBは、3月3日にも、
(1.5-1.75%を1.0-1.25%に)0.5%下げたばかりですが、

その当時、パウエルFRB長官は、

「利下げが感染率を低下させたり、
ㅤサプライチューンの混乱を
ㅤ収束するわけではない」

と、自ら発言しています。

では、なぜ、
FRBは金利を下げたのでしょう。

通常は、金利を下げると、
株は大きく上昇するからです。

しかし、この時の3/3時点で、
市場ではFRBの利下げは予想しており、

織り込み済み、むしろ、
もっと、もっと、下げることを
期待した金利先物取引が盛んでした。

中途半端な金利下げでは、
市場は「もっと、もっと」を
要求することは目に見えていました。

この時も、FRBは
ホワイトハウスの圧力に屈したわけですが、

「too late , too small. (遅すぎて、少なすぎる)」

と市場は思ったのです。

結局、この利下げは、
期待を裏切ったという市場の反応で、
さらに金利は下落。

株式も暴落し、
無駄撃ちにおわりました。

いや、下手に打ったので、
しっぺ返しをくらった形になった。

FRBの期待に沿わずに
株は暴落したのですから。

「キジも鳴かずば撃たれまい」

FRBというキジは、
鳴かなければ市場に打たれなかったのです。

その記憶も残る同じ月に、
また3/16に同じことをしてしまった、
というわけです。

FRBとしては、3月3日以降、
またまた20%の株価暴落が起きたので、
その対策で利下げをしたということになりますが、

1%もの緊急利下げというのは、
かつてのFRBからは考えられないことです。

FRBの議長といえば、
世界の金融界の頂点に君臨する
神のような存在です。

「FRBは政治から独立して的確な判断を行う」

と言い切ったのは
グリーンスパン元議長ですが、

パウエル議長になって、
変わってしまったのでしょうか。

しかし、予想通り、
今回の金利1%下げの反応も
市場は逆にとらえ、
株価がさらに下がりました。

「FRBがうろたえるほどひどいのか、こりゃ大変だ」

という意識で受け取られ、
暴落という火に油を注いだ格好です。

今回は、巨額資金を投入して、
7,000億ドルの債券を購入し、
お金を市場にばらまくことも発表しました。

先週、既に1兆5,000億ドルのお金の供給を、
レポ取引市場(現金を担保に債券を貸借する銀行間取引市場)
行うと発表したばかりです。

要するに、QEも久しぶりに復活するのですが、
これは「too large」です。

結局、今回は、
「too early, too large」
なっていると思います。

いずれ、この材料を消化し、
米株はポジティブに、
反転に向かうものと思いますが、

今は米株市場が理性を失っていて、
本来の

金利下げ->ドル安(円高)->米株高->日本株高

という関係にはなっていないのです。

こういったときには、
放置プレイがもっとも良いと
私は考えていますが、

特に米政権は、
大統領選がかかっているだけに、
あれこれ手を加えて、蛇足がたくさん
生えてきているように見えます。

これを書いているうち、
3/16 14:00すぎ、

日銀は、年間6兆円の投資を
倍の12兆円にすると発表しました。

それまでのマイナスに
推移していた日経平均は、
少しだけ反転しましたが、

日米ともに、笛吹けど踊らず
いったところでしょうか。

奥村尚

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