米英合意と米中関税引き下げ

2025.5.14
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From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

4月は、米国の相互関税問題で
世界の相場は大きく揺れました。

いまでも大きく影響を
受けている最中ですが、

先週末から今週にかけて、
2つの大きな成果が出て、

それもまた、
相場に影響が出ています。

ひとつは、米英の決着です。

相互関税に関しては、
英米間の合意が
最速で出たものでした。

トランプ大統領はこの合意を、

最大限の合意で、
大規模な貿易協定

と発言しています。

(実際には細かなルールを
盛り込む協定ではなく、
覚書=基本合意、にすぎません)

内容は、ニュースで
さんざん報じられているので
皆さんもご存じでしょうが、

車の輸入関税を、
10%とすることで
合意できた

という点が最も注目されます。

また、鉄鋼、アルミの
英国からの輸出に対しても、
関税が撤廃されました。

この合意が発表されたのは
8日です。

イギリスの株価指数
FT100の推移を、みてみましょう。

4月の前半は
あまりに大きく下げたので、

その後はどの国も
持ち直してきていますが、

5月8日から
さらに大きく上げ始めた、
とは言えません。

英米合意による
英国の株価上昇は
微々たるものだったのです。

株式市場は、
大きくは驚かなかった
ということでしょう。

交渉や合意を受けた
英国の結果は、
参考になると思います。

ただ、日本にそのまま
当てはまるものとはいえません。

イギリスは、
米国からの自動車輸入に対して、
10%の関税をかけています。

これは、
イギリスが輸入する際にかける
10%の自動車関税が、

今回交渉材料になったかどうかは
定かでありませんが、

いずれ明らかになるでしょう。

ちなみに、
イギリスも右ハンドルです。

また、米国は、
EUでは禁止されている

成長ホルモンを使って
肥大化させた牛を肉として
生産、輸出していますが、

EUでは30年前から
禁止されているもので、

英国が受け入れた
形跡はありません。

英国政府は、

今回の合意で
輸入食糧に対する基準緩和は
行っていない

とも発表しています。

このあたりの展開は、
日本が参考にすべき要素が
多々含まれています。

英国がどう交渉し、
どうふるまい、
米国から合意をとったか、

日本は、一生懸命に
探りを入れていることでしょう。

ただ、日本が参考にできない、
まったく異なる立場も
持っています。

英米は、軍事、
あるいは、諜報活動において、
協力関係にあり、

UKUSA協定(5eyes)に基づく
機密情報を共有している仲間です。

英国は、米国の製品を多く買い、
英国の輸入超過になっている点でも
立場は異なります。

さて、二つ目の成果は、
米中の相互関税の
大幅な引き下げです。

相互に、115%も引き下げたと
ニュースしています。

この交渉は米国か
持ち掛けたものです。

要するに、強気で臨んだつもりが、
最後まで付き合うと言い切った
国の方が強気なうえ、

国内の金融相場下落で
不安定さが増し、

今まで中国に輸出していた
大豆の輸出先がなくなって
宙ぶらりんの状態となり、

政府の信頼も大きく損ない
大統領の支持率激減、
米国の方が困っていたわけです。

GWまではリスクから逃げていた
マネーの一部が安全資産である
円に向かい、円高でしたが、

これを機に、一転、
円安が一気に進みました。

短期的には、
これで株高になります。

ただ、日米の相互関税の解決には
農業問題が絡んできそうなので、
時間がかかると思います。

7月末には参院選挙も
行われますし、

日本株が下がる要素は
たくさんありますので、
道は険しいというところでしょう。

奥村尚

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