From:中野英
池袋の自宅より、、、
いよいよ今年も
あと3日となりました。
今年は色んな経験をさせて
いただく機会があり、来年も
引き続き色々なことにチャレンジしてまいります。
皆様も株ライブを通して
一つ来年もよろしくお願いします。
で、表題の通り今日は
今年の相場を振り返ってみますね。
前回は、来年の相場に内在するで
あろう《強弱材料》についてお話ししました。
今回は、今年の相場をこれからの
投資人生における糧に出来るように、《相場回顧》をしてみたいと思います。
少々長いので、休憩を
入れながら読んで頂ければ幸いです。
まずは、今年1月のお話をする前に、
その流れに繋がっていく去年11月の相場から。
予想を大きく上回る、『2013年10月のアメリカ雇用統計』を契機に、
11月12日、《CTA》の『円売り・225先物買い』のポジション構築が始まりました。
その流れは、12月上旬~中旬の
揉み合いを挟んで、最終的には《邦銀》の
『値嵩株買い(CTAの225先物買いに相当)も絡めながら、年末まで続きました。
しかしその流れは年明け以降は続かず、
1月中旬までは年末より若干下げた水準で揉みあい。
そして、下旬から一気の下げとなりました。
1月の下げは、今思えば、当然と言えば当然でした。
例年1月が強い動きを見せるのは、
クリスマス休暇前にポジションを落とした外国人投資家が、
年明けにポジションの再構築をするからという要素が大きいです。
つまり、《現金》の形で年を越すので、
年明けは『買い』という選択肢になるのですね。
しかし去年は、年末まで買い続けて、
多くの投資家が《先物・現物》という形で新年を迎えました。
当然、起こす行動は『売り』しかありません。
1月中旬までは・・・
《CTA》の先物売り VS 《個人投資家》の現物買い
・・・というような色彩が強い相場でした。
しかし下旬から・・・
売り方に《外国人投資家の現物売り》が加わり、
一気に『売り方優勢』の相場へと変わり、日経平均《14000円割れ》の水準へと急降下。
2月に入って早々《14000円》を割れたところで
《現物売り》が収まり、『若干の買戻し』と
『恐る恐るの押し目買い』で、薄商いながら《真空地帯》を上昇。
そして、月末前には《15000円》まで上昇。
3月に入り、再び真空地帯の中上値を試すも、
2週目に入り、遅ればせながら『金融機関の決算対策売り』が出てきて失速。
そのあとは揉み合いが続き、月末の数日間に決算期末の
《ドレッシング買い》が入り、安値から若干戻して3月を終えました。
4月に入り《新年度の新規資金》が
入りましたが、規模は少々。
すぐに息切れし、
利食い売りで再び《14000円割れ》。
この時の下げは、1月とは違い『出来高』が膨らまず、
《売られている》というより《買いが入らない》が故の下げでした。
《盛り上がりがない下げ》といった
雰囲気で、下げ止まった水準も中途半端。
結果として、『その日にその水準で止まった』と
いった感じの、《不完全燃焼の下げ》でした。
《盛り上がり》がないので、売りに追随するような
『空売り』があまり入らず、売りが止まったあとの戻りも鈍く、
《14500円》近辺まで戻ったところで4月は終了。
5月は、一年前の急落の記憶と『Sell in May』という
格言の影響で、4月以上に買いが入らず、安値揉み合い。
ただ、安いものの、それは《投資家》の
『現物売り』ではなく、小規模の《CTA》の『仕掛け的な225先物売り』でした。
そして《日銀の金融政策決定会合》があった5月21日、
後の黒田総裁の会見で、『追加緩和について否定的な内容』が伝えられて・・・
《CTA》が一斉に、
『円買い・225先物売り』の仕掛け。
【ヘッジファンドの解約売り】を『演じる』ような
《CTAの仕掛け売り》だったと言ってもいいでしょう。
その日の会見直後、急速な
『円高・株安』になったのを見て、株仲間に・・・
『先物のナイトセッションが始まって、
すぐに《14000円》を回復してくるようなら、
その買いは100%《年金》だから、とにかく買え』
『ここ最近の売りも今日の売りも《CTA》の仕掛けだから、まとめて踏んでくるぞ』
・・・そう電話で話したのを覚えています。
そして予想通り、この動きに合わせるように、
新規資金の投資が始まる《5月》というタイミングも
相まって、《GPIF》が大量の『円売り・225先物買い』。
実は、今年の相場の一番の分岐点は、
この日ではなかったか?と、自分は考えています。
結局、《GPIF》のカウンターパンチを
食らった《CTA》は、損失覚悟の買戻しを余儀なくされ、
《年金買い》も継続的に入り続け、そこから上昇相場が始まりました。
『同じ《下げ》と言っても、同じものは何一つとしてない』ということですね。
今年一年は、値動きを形作る『相場の本質』が
いかに大切かが凝縮された一年だったと思います。
ちなみに、今年5月に売りが出なかった理由は、
今年に入って外国人投資家が・・・
『日本株を買っていなかったから』
・・・買っていないものを、
売れるわけがありません。
とにかく前半は、外国人が
買わないが故に《冴えない日本株》でした。
6月に入って、買戻しと《年金》の
株価テコ入れが一巡し、狭いレンジの揉み合い。
7月も、同じような相場が続きました。
8月に入り、ウクライナ問題を発端にした、
外国人投資家の《TOPIX先物売り》が出始めました。
《夏休み期間中》に、万が一のことが
起きた時のための、『ヘッジ売り』だったと思われます。
それと合わせて出てきた、
オバマ大統領の《イラク空爆許可》の報道で・・・
《CTA》が一斉に売り仕掛け ⇒ 『急落』
しかし、それと同日《空爆開始》 ⇒ 追随する売り手は現れず、
《材料出尽くし》による買戻しで、ニューヨーク株上昇。
《地政学リスク》によるヘッジ売りは、
この日を境に完全に収まり、株価は8月初旬の水準まで戻して終了。
9月は、中間決算を控え、機関投資家の
動きが鈍り、値動きの少ない日が続きました。
しかし、9月10日の後場から、
突如現物に買いが入り始め、株価は上抜け。
《FOMC》と《スコットランド独立を問う国民投票》を
無事に通過して、昨年末の高値を更新となりました。
今思えば、9月の相場は、
《年金》の出現率が非常に高かった気がします。
【配当落ち分の再投資】があったとはいえ、
権利付き最終売買日の買いの強さも異常でした。
GPIFの運用見直しを前に、《7~9月》に
かなり買っていた事実もありますし、9月の上昇は
《GPIF》の力もかなり働いていたのかもしれません。
10月に入って早々、まだ記憶に
新しい《急落》が待っていました。
今年は3度、《商い(現物売り)》を
伴った急落がありましたが、その全てに共通しているのが・・・
まずは、《現物・TOPIX先物売り》で
『ジワジワ下げ始める』ところから始まったこと。
《TOPIX先物売り》の特徴を挙げますと、
『東証一部銘柄全体に売りが出る』(新興市場全体に及ぶ日もあり)ということなので・・・
Ⅰ. 《TOPIX》の方が、【日経平均】より相対的に弱い
Ⅱ. 値下がり銘柄数が多い
Ⅲ. 現物市場の売買代金が増える
そして、《TOPIX先物売り》が出始めると・・・
① その売りに気付いた《CTA》が、
それまで持っていたロング(買い)ポジションを手仕舞いし始める
⇒ 《TOPIX先物売り》&《CTAの225先物売り》で、下落スピードが加速
② きりの良い水準で《年金》が買い向かう
⇒ 外国人《TOPIX売り》 VS 年金《TOPIX買い》で、下げ止まり
③ TOPIX先物売りを小休止し、買戻しと押し目買いを
呼び込み、水準を戻させる(言わば、《死んだふり》)
③ 戻したところで、再びTOPIX先物売り
④ 前回の下げ止まった水準で再び止まるも、
そこで《CTAが売り参戦》し、下抜け
⇒ 《TOPIX売り》&《CTAの225先物仕掛け売り》 VS
年金《TOPIX買い》で、売り方に軍配
⑤ 再度、きりの良い水準で《年金》が
買い向かい下げ止まるも、そこで、最後の
売り手《個人投機家》が売り参戦
⑥ ここで、売り予備軍の全てのプレイヤー・・・
《TOPIX先物売り》&《CTAの225先物売り》&
《個人投機家の先物売り(投げ&仕掛け)》・・・が、売り手として出揃う
⇒ 全員参加型の《売り相場》となるため、
下落スピードは最も速い。《崖》を転がり落ちていくような印象。
しかしそれが、『【売り手】となりうる投資家全てが
売り切った合図』であり、実は最も分かりやすい底を付ける形。
⑦ 売り方勢力(売り方資金)=『売り方予備軍』が
一気に減少 & 買い方勢力(買い方資金)=『買戻し予備軍』が一気に増加
⑧ 売りが枯れたところに買戻しが入り、急反騰
10月は、《TOPIX先物売り》だけが一日長く出たので・・・
先物の安値が『10月16日』
現物の安値が『10月17日』となりました。
現物売りを伴った下落は、
水準もさることながら・・・
【期限】を決めて売って
きているように思われます。
つまり、『ある期限までに現金化する必要がある投資家』の
売りであるが故に、短期間にまとまった売りが出る。
逆に言えば、そのタイミングさえ掴めば良い。
上記した『相場の売り手とその行動パターン』も
一つ参考にして、そのタイミングを上手く捉えて頂けたら、嬉しく思います。
その後は、10月17日で完全に《TOPIX先物売り》が枯れ、
10月30日までは買戻しを主体に『フワフワ上昇』
そして、10月31日・・・
『GPIF』報道に合わせて『日銀追加金融緩和』発表。
下落過程で作られたショートポジションの
《買戻し》と《新規買い》を巻き込んで、急騰。
11月1日に、《17000円越え》でいったん天井打つも、
大多数の投資家が見込んでいた『16500円までの調整』をする気配がないことで、再び上昇へ。
11月17日、《日本GDP》の思わぬ悪化ぶりに、
《CTA》が一斉に利食い売り。
最大下落幅、《500円》。
翌日、即《GPIF》が買い向かい、
『下げさせない』という意思を確認。
この日で、《上昇トレンド》が
ほぼ確定したのではないでしょうか?
そのままの勢いで12月へ突入し、
12月8日に《18000円超え》を果たすも・・・
※ 同日発表された《日本GDP改定値》をきっかけに、
再び、外国人投資家の《TOPIX先物売り》発動
この《TOPIX先物売り》は、今年のヘッジファンドの
運用成績が極めて悪かったことを踏まえると、『ヘッジファンドの解約売り』だと思われます。
《17000円》でTOPIX先物売りが止まり、
ここから年末相場へ移行と誰もが思っていたところで・・・
生き残りを賭けた、ヘッジファンドの
半ば強引な《仕掛け売り》発動。
自分が心から信頼している、元為替ディーラーであり、
今現在はある会社を経営されている方から聞いた話なのですが、
12月1日に行われた『スイス中銀の金保有拡大案』の国民投票で、案が否決されたことによって・・・
《金が急落》
・・・そして、その動きに合わせて
《為替》も予想以上の変動をしたそうです。
その動きを見て、ヘッジファンドが・・・
『《金》の次は《原油》だ!』
・・・ということで、
『OPEC減産なし』報道をネタに・・・
『原油売り崩し』 & 『産油国通貨売り崩し』
⇒ ※ 新興国不安を煽っての『リスク資産売り崩し』
・・・を狙ったんじゃないか?という推測です。
原油の売り崩し方が、《最も商いが細る時間を狙って》
売り崩してきていたので・・・
『換金売り』という類のものではなく、
『意図的な売り崩し』であることは明白でした。
『換金売り』が目的なら、買い手(参加者)が
多い時間に売りますから。
結果として、仕掛け売りは大成功。
買い戻すタイミングも《FOMC前日》と、
まさに『計算しつくされた仕掛け』でした。
ヘッジファンドの運用成績が悪い年は、
『解約売り』が多く出ることもさながら・・・
12月には、『生き残りを賭けた、強引な仕掛け』が
見られる可能性が高いです。
相場は、それぞれのプレイヤーの
都合の影響を強く受けます。
そのプレイヤーが大きければ大きいほど、
相場へのインパクトが大きいことは言うまでもありません。
ヘッジファンドの運用成績にも、十二分な
注意を払っておく必要があると言えるでしょう。
仕掛け売りに巻き込まれた投資家が
投げ売りしたあとは、『来年強気派』の
投資家の買いが一気に流入し、3日で《1000円》上昇。
その後は、クリスマス休暇 ⇒ 年末の《お化粧買い相場》へと移行。
そして、本日を迎えました。
さて、年明けはどのような
動きを示すのでしょうか?
去年は、『12月に買われた』ので
『1月は売り』でしたが・・・
今年は、『11月に大量に買われて』 ⇒ 『12月に一部の投資家が売らされた』
・・・という流れです。
投機家の『先物買いポジション』が
相当規模残っている環境は、去年と同様です。
ただ去年は、『1月に売ろう』と考えていた
投機家が、先物を買って持ち越していました。
それに対して今年は、『1月に売ろう』と
考えていただろう投機家の一部は、仕掛け売りに
巻き込まれて《先に売ってしまいました》。
1月の上げ下げの可能性は、
半々といったところと思っています。
周りの話を聞いていると・・・
※ 評論家は総じて、1月《強気》
※ ディーラーなど運用者は、1月【弱気】
さて、どちらの読みが当たるでしょうか?(笑)
株ライブが始まってまだ1か月ですが、来年は
皆様の前でお話する機会を頂こうと思っていますので、
今後とも末永く宜しくお願いいたします。
皆様、良いお年をお迎えください。
ー中野