数値が合わない?株価指数のトリック

2021.6.2
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From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

昭和のバブル期1989年の年末、
日経平均は約38,877円(四捨五入)
をつけました。

この時の日経平均が、
引け値ベースでは最高値です。

2021年5月末日の日経平均は28,860円でした。

さて、

同じ日のTOPIXはどうだったでしょう?

1989年末、TOPIXは2881でした。
2021年5月末は、1923です。

おかしなことに気が付くはずです。

日経平均はバブルのピーク時の74%弱まで
回復しているのに、

TOPIXは66%しか回復していないのです。

TOPIXは、東証1部の全銘柄を対象に
時価総額を計算し、その総和を指数化
しています。

1968年1月4日の時価総額を100
としているので、計算上は、

今の東証一部の時価総額 ÷ 1968年の時価総額 x 100

で計算できます。

1989年末の東証1部時価総額は、
591兆円でした。

2021年5月末の東証1部時価総額は、
714兆円(小数点四捨五入)でした。

おや、時価総額は既にバブル時の
ピークを抜いているんですね。

とすると、本来のTOPIXは、
バブル時の値を超えているはずです。

1989年と同じ計算を行うと、
5月末のTOPIXの値は3480 になります。

でも、東証が発表しているTOPIXは1923です。

実に45%も減っていることになります。

一体、なぜ減っているのでしょう?

答えは、

東証がTOPIXのために計算する時価総額は、
時価総額の合計ではない

ということになります。

弊社で使っている投資塾のテキストから、
該当部分のグラフを抜き出してみました。

日本企業は、関連企業、グループ企業という
仲間の企業の株式をそれぞれ持ち合っています。

英語ではクロスホールディングといいますが、
お互いがお互いの株式を持ち合うことにより、
関係を強固なものにするとともに、

外部の無関係な会社からの買収を防ぐ
という役割も持っています。

一方、こうした株式は、いったん保有されると
市場で売却されることはありません。

金庫にしまわれて決して流通することはないのです。

金庫株ともいいます。

市場に出ない以上、
絶対に売買されないのですから、
クロスホールドされた金庫株の価値はない、

とする考えで、東証はその分を除去して
TOPIXのための時価総額を計算しています。

こうしたTOPIXの計算ルールは、
1999年以降に導入されたもので、
その後も何度か修正されています。

ということは、

1999年より前と1999年より後のTOPIXは、
連続性に欠けていることにならないのか?

と疑問も出ますよね。

はい、

その通りです。

ルールが異なる計算方法なので、

今のTOPIXと昔のTOPIXは比較してはいけない、

のですね。

東証の時価総額は、昭和のバブル期を
ずっと上回っており、

日本企業は市場全体としてみると、
ちゃんと成長している、

ということになります。

奥村尚

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