From:不動修太郎
東京の自宅にて、、、
貿易を行う企業の業績は
為替の影響を受けます。
特に昨年から最近まで
為替が大きく動きましたが、
今後も多くの上場企業の業績は、
為替相場に左右される展開になることは
間違いありません。
さて、日本ではほぼ全ての原油を輸入しています。
ですから海外との貿易がまったくない会社でも
為替によりガソリン代が上下するなど、間接的に
業績に影響します。
企業が原材料を購入する或いは、
製品を輸出したりする場合等の
計算の前提として使う為替レートを
「想定レート」と言います。
【図1】
上は最近の読売新聞の記事のコピーです。
この記事の中の表を見て下さい。
ドル/円の想定レートを
105円、110円としている会社が
多いです。
日経新聞の調査によれば、主要企業360社が
今期見通しの前提とする想定為替レートは
「1ドル=110円」とする会社が半数以上だと
いう事です。
表の中で日立製作所に-30億円と
ありますが、対ドルで1円の円高が
30億円の日立の営業減益という計算になると
いう意味です。
大企業の為替差益、差損については
日本のマスコミで大きく報じられますから、
皆様もよくご存知でしょう。
為替は絶えず動いていますので、
それにより企業業績、材料の購入金額が
大きく変わることは企業経営にとって
好ましい事ではありません。
そこで海外との貿易額が大きい会社では、
「為替予約」を行います。
銀行など金融機関との間で3か月間、
或いは半年の為替を固定のレートに
してもらうのです。
勿論、これは保険のような制度なので、
銀行では手数料を貰います。
その見返りとして仮に円高になったとしても
1ドルを110円で契約した企業に支払います。
このような約束事があるので、
為替予約をしている大手企業はすぐには
為替変動の影響を受けにくいです。
とは言え、円高になれば、次の期の為替予約、
想定レートは円高方向に動いてします。
輸出企業であれば、来期は輸出する
製品の価格を引き下げる等の対応を迫られます。
つまり、為替予約をしておくと急激な円高に
なったとしてもその影響をある程度は
先送りに出来るという仕組みです。
さて、ここでもう一度、記事を見て下さい。
ドル/円の想定レートがドル/円の想定レートを
105円、110円としている会社が多いということは
それらのレートで金融機関に為替予約を入れている
会社が多いです。
銀行など金融機関にしてみると
1ドルが105円、110円という数十億円、
数百億円分のポジションを持っていることに
当たります。
このような事情があるので、FXでは
105円、110円のような5の倍数の
レートが節目となり易いのです。
節目というのはそこで相場が反転する、
或いは揉みあって為替の動きが鈍くなるレートです。
逆に為替が揉み合わず、その節目の数字をあっさりと
超えたとすれば、その時点での為替の勢いが強いという
ことです。
円高ならば、円高方向の動きが続き、
さらにつぎの節目を目指す可能性が高いといえます。
ですからFXでは常にこういう節目の数字を
注目すると相場の予想に役立ちます。
また企業業績に大きく影響するので、
株式相場の予想でも注目しておきましょう。
企業の想定レートは
日経新聞などに載っています。
また「想定レート」という
キーワードでネット検索すると記事、情報が
見つかるので参考にして下さいね。
企業の想定レートを知っていると
為替、株式双方の相場予想に役立ちます。
不動修太郎
・ジャパンインベストメントスクール講師
・株式、FX、海外不動産など投資全般に精通
・現役サラリーマン投資家
大学卒業後、メーカーに勤務。1984年頃より国内株式投資を開始。東南アジア赴任中、アジア通貨危機という経済的激動を実体験。アメリカ、中国などへ100回以上の訪問で、語学と国際金融感覚を養い、海外での投資を始める。99年から、香港、ベトナム、ロシア等株式投資、海外預金、FXなどを開始。サラリーマンを続けながら、投資活動を通じ、多数の富裕層、著名人と親交があり、高額セミナー講師、会員制クラブの顧問となる。
また、これまでの投資経験、海外での経験から得た、幅広い知識と信頼感のある人柄が人気を呼び、立場が同じサラリーマンや投資の勉強を始めたいという女性まで幅広く絶大な支持を得る。
不動先生いつも興味深いお話をありがとうございます。
おかげさまで急激な円高への振れによって輸出株はもとより金融株が売られた理由がわかりました。
きんばらさん、コメント有難うございます。
円高になると日本から
海外に輸出している製品の価格が
高くなってしまいます。円高は
輸出産業の業績を悪くする
要因になります。
銀行などの金融業界は
多くの業種の景気の影響を
受けます。それに加え、
まだこの記事を書いてした
時点では行われていなかった
イギリスのEU脱退の影響が
大きいです。これについては
次の記事で書きましょう。