こんにちは、ケン藤田です。
前回のブログでは
『15年前の100万円の価値は?』というテーマで、
物価の変化について触れてきました。
今回は
『世界の流れから見て、日本は今後どうなるのか?』
といったテーマについて書いていきます。
景気の大局観を掴む上で
とても重要な方法・未来予測の一つです。
毎月更新されている統計なので、
実感値よりも早く掴むことができます。
今回の内容は必ずおさえてください。
まず現在、世界的なインフレが進んでいます。
ここ数日のニュースでも、ドイツ・ミュンヘンで行われる
世界的なビールの祭典「オクトーバーフェスト」にて、
ビール価格が昨年比6%上昇し、ジョッキ1杯が2,000円を超えた。
そんなニュースが流れてきました。
私が2014〜15年頃に参加した際には、
1杯1,000〜1,500円(10ユーロでお釣りがくる価格)だったので、
10年経たずして3割以上の値上がりをしていることが分かります。
良い悪いはさておき、EUの利上げ政策の効果を感じます。
世界では値上げをしても需要の方が高く、更なるインフレを呼ぶ、
そんな状況が特に顕著にここ数年続いていました。
一方、日本はどうか?
ここ半年、1年では、生活必需品の値上げや内容量減少が
少し気にはなるものの、
さすがに10年で3割増という程ではありません。
なぜ日本では、
自動車などを除きインフレが抑制されているのか、
統計データを見ながら解説していきます。
まず、我々が物やサービスを買う時の値段の変動を表している、
消費者物価指数(CPI)の日本と欧米の推移を見てみましょう。
(第一生命経済研究所「米欧に比べて遅れる日本の物価ピークアウト」より引用)
オクトーバーフェストを例に挙げたドイツを含むユーロ圏やアメリカは、
コロナ以降、急激に物価上昇したものの現在はピークアウトし、
上昇ペースが緩やか(それでも年5〜8%上昇)に落ち着いたことが分かります。
一方、日本は欧米よりも立ち上がりが遅れて、
昨年10月から今年にかけては
前年比3%以上の物価上昇が進み始めました。
なぜ日本は遅れたのか?
そして、今後はどうなっていくのか?
その疑問は、また別の統計データを見ることでクリアになります。
一般消費者が商品を買う時の値段に対して、
企業が原材料の仕入れなどを行う際の値段の変動を表した指標を、
企業物価指数(CGPIもしくはPPI)と呼びます。
コロナ以降、世界的な物価高が加速した状況で、
「なぜ一般消費者は数年間、物価上昇の影響が少なかったのか?」
答えは、
企業が利益率を減らし物価上昇をクッションしていた
ということが、この統計データから分かります。
(富山県「統計指標のかんどころ」物価指数資料より引用)
グラフで見ると2021年以前の乖離に対して、
22年の乖離の大きさがいかに異常か分かります。
2020年を100として、最新の2023年7月時点の情報でも、
CPI 105.7%に対しCGPI(PPI)119.3%と、13.6%の乖離がまだあります。
(総務省統計局「消費者物価指数」及び日本銀行「企業物価指数」調べ)
欧米諸国では物価上昇が起きて企業の仕入れが高くなれば、
消費者への提供価格も連動して引き上がるため、誤差は2%程度でおさまります。
では、なぜ日本では引き上げられないのか?
一つは、国民の価値観として消費意識がデフレに慣れすぎているために、
値上げに対する抵抗感がとても強いという背景があります。
2022年のニュースで、約10%の値上げを実行した回転寿司チェーンが、
翌月から売上が20%以上ダウンし続けたという話もありました。
ただ、あまりにCGPIとCPIの乖離が大きい状態が続くと、
企業努力による我慢にも限界が来て、
消費者価格に反映せざるを得なくなるでしょう。
【まとめ】
①世界では日本の3倍のスピードでインフレが進んでいる
②企業物価指数の動きに注目すると今後の物価動向が見える
③日本の物価は企業の努力によって抑えられているが限界も近い
上記の統計から読み解くと、
企業はまだ消費者価格への転嫁=利益増のバッファーがある事が分かり、
消費者目線では更なる負担増が見えてくるので、
インフレに負けない投資・資産運用が必要になってくるということです。
そのための具体的な投資法については、次回以降お伝えしていきます。
今回の記事も、あなたの資産形成のヒントになれば幸いです。
世界の経済的成功者たちから教わり身につけた資産構築の常識を、
今後もシェアしていきますので、
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
ケン藤田
投資・資産運用歴18年以上、海外投資歴12年以上、世の中に存在するほぼ全ての投資商品への投資経験を持つ資産運用・海外投資のプロフェッショナル。
ヨーロッパを中心とした金融先進国での金融専門家や富裕層たちとの交流で学んだ、富裕層だけが知る「お金のとある共通点」をベースに独自の投資法を構築。
資産運用アドバイザーとして、これまで述べ1000名以上への資産運用アドバイスを行い(累計アドバイス額120億円以上)、そのうち95%以上の方の資産増大を実現。
現在は、年商5〜25億円規模の複数企業のCFO(最高財務責任者)として活動するかたわら、自身も5億円規模の資産を年利10〜15%以上のリターンで運用する現役投資家としての顔も持つ。
日経新聞出版社より2冊のマネー系書籍の監修実績がある(累計発行部数5万冊)。