世界と逆行する日本の隠れたリスクとは

2023.9.29
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こんにちは、ケン藤田です。

前回のブログでは
『15年前の100万円の価値は?』というテーマで、
物価の変化について触れてきました。

今回は
『世界の流れから見て、日本は今後どうなるのか?』
といったテーマについて書いていきます。

景気の大局観を掴む上で
とても重要な方法・未来予測の一つです。

毎月更新されている統計なので、
実感値よりも早く掴むことができます。
今回の内容は必ずおさえてください。

まず現在、世界的なインフレが進んでいます。

ここ数日のニュースでも、ドイツ・ミュンヘンで行われる
世界的なビールの祭典「オクトーバーフェスト」にて、
ビール価格が昨年比6%上昇し、ジョッキ1杯が2,000円を超えた。

そんなニュースが流れてきました。

私が2014〜15年頃に参加した際には、
1杯1,000〜1,500円(10ユーロでお釣りがくる価格)だったので、
10年経たずして3割以上の値上がりをしていることが分かります。

良い悪いはさておき、EUの利上げ政策の効果を感じます。

世界では値上げをしても需要の方が高く、更なるインフレを呼ぶ、
そんな状況が特に顕著にここ数年続いていました。

一方、日本はどうか?

ここ半年、1年では、生活必需品の値上げや内容量減少が
少し気にはなるものの、
さすがに10年で3割増という程ではありません。

なぜ日本では、
自動車などを除きインフレが抑制されているのか、
統計データを見ながら解説していきます。

まず、我々が物やサービスを買う時の値段の変動を表している、
消費者物価指数(CPI)の日本と欧米の推移を見てみましょう。

 

(第一生命経済研究所「米欧に比べて遅れる日本の物価ピークアウト」より引用)

オクトーバーフェストを例に挙げたドイツを含むユーロ圏やアメリカは、
コロナ以降、急激に物価上昇したものの現在はピークアウトし、
上昇ペースが緩やか(それでも年5〜8%上昇)に落ち着いたことが分かります。

一方、日本は欧米よりも立ち上がりが遅れて、
昨年10月から今年にかけては
前年比3%以上の物価上昇が進み始めました。

なぜ日本は遅れたのか?
そして、今後はどうなっていくのか?

その疑問は、また別の統計データを見ることでクリアになります。

一般消費者が商品を買う時の値段に対して、
企業が原材料の仕入れなどを行う際の値段の変動を表した指標を、
企業物価指数(CGPIもしくはPPI)と呼びます。

コロナ以降、世界的な物価高が加速した状況で、
「なぜ一般消費者は数年間、物価上昇の影響が少なかったのか?」

答えは、
企業が利益率を減らし物価上昇をクッションしていた
ということが、この統計データから分かります。

 

(富山県「統計指標のかんどころ」物価指数資料より引用)

 

グラフで見ると2021年以前の乖離に対して、
22年の乖離の大きさがいかに異常か分かります。

2020年を100として、最新の2023年7月時点の情報でも、
CPI 105.7%に対しCGPI(PPI)119.3%と、13.6%の乖離がまだあります。
(総務省統計局「消費者物価指数」及び日本銀行「企業物価指数」調べ)

欧米諸国では物価上昇が起きて企業の仕入れが高くなれば、
消費者への提供価格も連動して引き上がるため、誤差は2%程度でおさまります。

では、なぜ日本では引き上げられないのか?

一つは、国民の価値観として消費意識がデフレに慣れすぎているために、
値上げに対する抵抗感がとても強いという背景があります。

2022年のニュースで、約10%の値上げを実行した回転寿司チェーンが、
翌月から売上が20%以上ダウンし続けたという話もありました。

ただ、あまりにCGPIとCPIの乖離が大きい状態が続くと、
企業努力による我慢にも限界が来て、
消費者価格に反映せざるを得なくなるでしょう。

 

【まとめ】
①世界では日本の3倍のスピードでインフレが進んでいる
②企業物価指数の動きに注目すると今後の物価動向が見える
③日本の物価は企業の努力によって抑えられているが限界も近い

上記の統計から読み解くと、

企業はまだ消費者価格への転嫁=利益増のバッファーがある事が分かり、
消費者目線では更なる負担増が見えてくるので、
インフレに負けない投資・資産運用が必要になってくるということです。

そのための具体的な投資法については、次回以降お伝えしていきます。

今回の記事も、あなたの資産形成のヒントになれば幸いです。

世界の経済的成功者たちから教わり身につけた資産構築の常識を、
今後もシェアしていきますので、
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

ケン藤田

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