From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
2月19日、米国SP500は、
史上最高値 6117.52 で引けました。
しかし、その後失速、
先週末は 5667.56まで
下がりましたので、
引け値ベースで
7.76%下落したことになります。
一方、その間のTOPIXは
どうであったかというと、
大きな上げ下げはありませんでした。
珍しく、
米国は下げたけど日本は下げなかった、
というケースです。
では、
もう少し長く期間を取ると、
どうだったのでしょうか。
2020年6月以降の、
SP500とTOPIXの歩みを
みてみましょう。
2020/6/1=100として
プロットしました。
SP500とTOPIX、
この両者を見比べると、
大雑把には似た動きをしています。
SP500の上昇時は
TOPIXも上昇していますし、
下落時には
TOPIXも下落しています。
また、
急激な下落の時期も
下落幅も似ています。
でも、両者で異なる動きを
するときもあります。
異なる点が目立った時期の
グラフ部分を〇で囲んでおきましたのでご覧ください。
青〇はSP500の下落が目立ったとき、
オレンジ〇はTOPIXの下落が目立ったとき、です。
左から、最初の青〇は、
SP500の下落が目立ちました。
2020年9月2日に高値をつけた直後から、
急速に失速して、3週間で10%も下げました。
この時は、トランプ1の時代で、
米中貿易戦争を懸念しての失速でしたね。
11月19日にはこの水準に戻しました。
要した期間は2カ月と2週間ですね。
次の青〇は
長い期間のSP500の下落です。
これはFRBの金融政策が原因でした。
金融政策が転換するまでの2年間は
低迷を続けています。
この長期にわたる下落に関しては、
ほかの下落と明確に異なることがわかるはずです。
そのほかは、鋭く下げて
あっという間に戻すものですが、
この時の相場は
長期に渡り、下がり続けた。
原因は、今までも何度も触れていますが、
政策金利の上昇によって、
株式市場に魅力がなくなったからです。
金融政策が変わるまでは、
こうした下落は止まりません。
その次の黄色〇は
昨年8月の暴落です。
前月の7月31日の引けを基準とすると
SP500は3営業日で
6.1%程度の下落であったのに対し
TOPIXは3営業日で20.3%と、
大きく下落しました。
日経平均では、
1987年のブラックマンデーを
上回る下落となったので、記憶にあると思います。
あまりの下落に、指数先物に
サーキットブレーカーが働き、
一時的に取引停止となり、
さらに下げが下げを呼んだ結果でした。
下げが下げを呼んだということは、
なにか最初に下げた理由があったはずです。
後付けの理由では、
米国の雇用統計が悪化したことですが、
大きな懸念となるような内容でもなかったのです。
つまり、
直接の引き金となった下落の原因は、ナゾです。
相場では、
時々(まれではありますが)
こうしたことが起きます。
でも、米国は2週間で元に戻しました。
半値戻しは、下落から3日後でした。
同じく日本も下げましたが、
日本の相場が下落前の水準に戻したのは、
翌年の3月19日。
つまり、つい最近のことです。
ただし、昨年の8月は、
3日で20%の下落したのですが、
半値戻しは、4日後です。
鋭い暴落は、
落ちた半値程度であれば、
かなり早い段階でもとに戻る、
というわけです。
さて、最後の青い〇は、
今回のSP500の大きな下落です。
2/19を基準とすると、
15営業日で10%程下落しました。
日本は下落していませんので、
たいしたニュースにもなっていませんが、
原因は、関税を中心とした貿易戦争の勃発です。
あくまでも、不透明感とか、将来の懸念、
という不安が先行しているわけですが、
目の前の米国マクロ経済指標は、
雇用は強く盤石だし、長期金利は下がるわ、求人は増えるわ、
失業保険申請数は減るわで、大変に良い状況は維持できています。
3/13をボトムに、
SP500の株価は反転していますので、
たぶん 3月末の週(=4月の第1週)には、
半値戻しに達するのではないかと予想します。
奥村尚

・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。