プロが予測する 業種別・業績の行方

2025.7.2
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From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

機関投資家向けの情報では
ロイターやブルームバーグが
有名ですが、

これは総合的な金融情報で、
いわばデパートです。

こうしたデパートに対して、
いわゆるブティックともいえる
専門情報ベンダーも存在します。

たとえば世界中の
証券アナリストの予想を
集計したサービスがあり、

そのほかの情報を扱いません。

代表的な情報ベンダーとして、
IBES(Institutional Brokerage Estimate System)
という情報サービスがあります。

そのIBESの集計をみると、
今後の、日本の業種別の稼ぎが、
どれだけ騰落するか、

いいかえれば、
EPSが下がるか/上がるか、
を一覧することができます。

今回は、
今後最も下がると予想されてい
る業種(セクター)を紹介します。

業種は、情報ベンダーで特徴のある
業種が定義されているのですが、

日本では最もポピュラーは業種は、
東証33業種として
広く使われていますので、

その分類を使って紹介しましょう。

<最悪は石油石炭製品>です。

予想EPSは、実に-33%です。
(小数点以下四捨五入、以下同様)

この東証の分類名は、
昔からあるレガシー産業の時代なので、

石炭などという名前も
残っているんですね。

エネルギー産業、
といった方がしっくりきます。

たとえば、ENEOS,出光興産、
コスモHDなど10社が属しています。

<次に悪いのは、輸送用機器>です。

-16%です。

輸送用機器などと聞くと、
産業用の特別大きなトラックなどを
考えそうですが、その通りです。

いかにも輸送用機器を
つくっているイメージがある、
川重、三菱重工、などが属しています。

しかし、こうした重工長大産業は、
最も有望な市場である
兵器も製造しており、案外堅牢です。

では、なぜ今後の
見通しがわるいのでしょう?

この下のサブセクターに
自動車があるからです。

自動車、および、
その関連会社をすべて含む、

日本の中心製造業が
この業種に属しています。

トヨタ、ホンダ、日産、デンソー、
などの自動車はすべてここに属します。

合計89社の巨大会社が、
皆この業種に属しているんです。

なぜ、この2つの業種が
突出して悪くなると
予想されているのでしょうか。

円安、そして、日米関税問題.

この2つの要素に尽きます。

この2つの問題を、
モロに受けているのが、
上で示した、2大業界といえましょう。

ちなみに、
エネルギーの国際価格は、
特に悪くはなっていません。

原油の国際価格で代表的なものに、
NYのオイル(原油先物WTI取引)
があります。

NY市場における
原油の取引価格は、安定しています。

念のため、みておきましょう。

縦軸は、ドルです。

今年に入って、原油価格は、
2018年ころの水準でずっと
安定していることがわかります。

つまり、ガソリン価格が
上がりつづけていたのは、

円安の理由であったことも
わかりますね。

さて、2桁も稼ぎが悪くなるのは、
この2業種だけです。

他の31業種はすべて、

<± 1桁%台の変化>

で収まります。

 

今年度のエネルギー業界と
自動車業界は、

稼ぎが大きく落ちる
ことが予想され、

いずれ株価に
反映されてゆくだろう、

と予想できますね。

 

奥村尚

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