From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
前回、
成行と指値の注文の相違について
基本をお伝えしました。
成り行きだと、
>どうしても今買っておきたい
多少、高くなったとしても、
それでも良いので買っておきたい
というときに使う注文
と書いたと思います。
実はこれ、
ザラバの時に限定したものです。
刻一刻と時を進める相場を
ザラバ
と呼びますが、
その時には、
成り行き注文で買う(あるいは売る)と、
ほぼ確実に買える(売れる)かわりに、
今の時価より、
買うときは少し高めの価格で、
売る時は少し安めの価格で、
約定されることが多いのは確かです。
では、ザラバでないとき
(たとえば相場開始時の始値の決め方)
は、どうなのでしょうか?
これがまた、
意外な結論なのですが、
東証の株式に
『きわめてフェアで妥当な価格で売買できる』
のです。
ザラバでは、
オークション(価格優先、時間優先)
のルールで売りと買いを
マッチングさせるのですが、
一日の市場の始値、および、
終わり値をつけるための時間帯では
この方式を使いません。
いわゆる、
板寄せという方式をつかいます。
この方式は、
時間優先をとっぱらう
という考え方が特徴的です。
一定時間帯を決めたうえで、
その時間に来た
すべての注文に対して、
『注文時間を無視して』
価格だけの情報で
『最大の株式数をマッチングさせることができるある価格』
を計算し、その価格をもって
取引値とします。
いくらであれば約定株式数が最大になるか
を演算するものです。
プロセスはやや複雑なのですが、
簡単にいうと、
買いであれ売りであれ、
全ての成り行き注文を優先して、
その約定量を極大化させる方式です。
そして、約定させる注文は、
全てが同じ時間で同じ価格で
売買することになります。
特に、始値は
東証に朝9:00までに来る
『売りと買いの大量の注文が、単一価格で約定される』ので
きわめてフェアなんです。
ザラバ方式のように、
成り行きが注文が損しやすい
ということはありません。
ほぼすべての成り行き注文は
買いであれ売りであれ、
同一価格で約定するので、
割高、割安、ということは
原理的に発生しないのです。
大証でも、
日経平均先物の取引に
板寄せが使われます。
簡単に書くと、
朝イチ、相場が始まる前の
成り行き注文は
約定成功率は100%に近く、
かつ価格的にも、
単一価格で大勢が約定できる
仕組みであるために、
フェアで妥当な価格である、
ということになります。
奥村尚

・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。