From:奥村尚
東京のオフィスより、、、
おはようございます。
いま、飛行機の中で書いています。
私は仕事で海外に行く頻度が高いのですが、
飛行機に乗っている時間、かなりヒマです。
特に、ロンドンやD.C.のような
長距離フライトは12時間を超えるので、
体にもキツいものがあります.
結構新作の映画もあるので、
観る時はありますが、、、
スクリーンが小さいし、
音も迫力がなく、
どうしても楽しめません。
見たい映画があれば、寝ているよりは
見た方が有効に時間を使えるのは
わかっているのですが、
見たい映画の場合ばなおさら、
映画館で見た方が(あるいは
ホームシアターで見た方が
楽しめるので敢えてガマンしています。
結局、何をしているかといえば、
ストレッチマットを持ち込み、
上空にいったあと、席でまずは
ストレッチをゆっくりします。
これで1時間はつぶれる。
ジムだと、普段はそのあと
レッスンなりに出て汗をかくわけですが、
そうもいかないので、その後が問題ですね。
最後は、ヒマに耐えきれずに
(もっとも見たい映画は将来のために我慢して)
たいして見たくもない映画を適当に
見る事が多いのですが、ここ2、3年は
別の楽しみを開発しました。
パソコンで分析することです。
フライトごとにテーマを決め、
事前にデータを持ち込み、分析します。
分析は仕事でもありますが、
趣味といっても良いので、私には楽しめます。
今回、通貨ペア、あるいは
株式指数は通期で何が得であるか、
定量分析で調べてみようと思い立ちました。
大量のデータをストレージにため込んで、
これを、長期にわたって分析するのです。
普段、ひとつのblogでの題材では、
こんなに時間をかけて分析をすることはないのですが、
長距離フライトの功で、結果を少しばかり披露します。
今回は、FXに関してです。
FXは、円に対する欧州代表
ポンドとして、ポンド円を
ドル円と対比させて比較しました。
「あれ?欧州だったらユーロでしょ」
と思う方がいるかもしれません。
長期の分析を行うという目的では、
ユーロは使えないのです。
昔は存在しない通貨だったからです。
欧州代表としては、
スイスフランかポンドになりますが、
ユーロの一員であった英国通貨、
ポンドが最も良いのですね。
分析はこのようにします。
まず、1988年2月10日から2020年2月10日までの
期間における通貨レートを入手します。
かなり長期に及ぶので日次で十分です。
次に、この期間のなかで重要な金融イベントを設定します。
私がピックアップしたのは以下です。
1997:アジア通貨危機
1998:ロシア通貨危機
2001:同時多発テロ
2008:リーマンショック
2015:スイスフランショック
2016:ブレグジット投票
この金融イベントを挟む前後の
リスクやリターンを分析する事で、
金融イベントが与えたインパクトを
数値で見ようというわけです。
計算方法は割愛しますが、
イベントがあった日を中心に前後20日の
平均リターンとリスクを計測しました。
グラフはわかりやすいように、
1リスクあたりのリターン
(シャープレシオ)としています。
見方としては、グラフのバーが大きいほど
リスク当たりのリターンが大きい。
ということになります。
マイナスに触れている時は、
円が上がり外貨が下がった状態です。
これを見て言える事は、
通期におけるリターンの少なさです。
誤解をしてほしくはないのですが、
期首に買って期末に売るリターンではありません。
通期におけるドル、ポンドの推移はこうなってます。
<ドル円推移>
<£円推移>
まず、アジア通貨危機
これは、ある1日に集中して
起こったものではありませんが、
クライマックスをはさんで
前後20営業日を測定しています。
アジア通貨危機は、欧米で起きたもの
ではないので日本円が比較的不利になり、
欧米通貨はプラスになっていますが、
ポンドの方がリターンが大きくなっています。
環太平洋という枠組みでは、
米国はアジア経済圏の一員である理由で、
欧州より影響を受けたとみて良いでしょう。
翌年、世界は引き続き
ロシア経済危機に見舞われます。
ノーベル賞の頭脳を集めた
世界的なヘッジファンドLTCMも、
この危機を乗り越えられませんでした。
当時、米国の多くの証券会社は
LTCMの手口を真似して取引しており、
米国金融界全体がダメージを受けた年です。
グラフを見ても、英国よりも米国の方が
はるかに想定的なマイナスリターンが
大きいことがわかります。
同様に、同時多発テロは米国の方が
影響が大きかったこともわかります。
リーマンショックは同程度のダメージでしたが、、、
これは、世界的な金融ショックであったから
英米等しくリスクリターンを負担したもの
とみる事ができます。
スイスフランショックは、欧州への影響が
大きかったことも一目でわかります。
一方、ブレグジットをみてみると、
ドルも同様の影響を受けており、
世界的な影響が及んだことを示しています。
こうしてみると、地域のショックは、
その地域の通貨が背負っている
ということが数値解析の上でも
明確である、という事実です。
もう過ぎてしまいましたが、
ブレグジットのイベントにおける
通貨変動でトレードするなら
ポンドを選択していたほうが
利益は出やすかった、という事になります。
他にもいろいろと示唆がありますが、
パッと見て、大変にFXマーケット
というのは合理的に動いているのだな、
という事になります。
奥村尚
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20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。