欧米の相場を揺るがせた金融ニュース

2020.9.23
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From:奥村尚
東京のオフィスより、、、

日本がシルバーウィーク、
連休で休んでいる間、欧米では、

おおきなニュースで相場がゆれました。

大手金融機関がマネーロンダリング
の取引に利用された

という資料を、
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)
が公表した事です。

このニュースを理解するにあたり、
前知識を持っておく必要があります。

ーーーーーー
1.CRSの存在
ーーーーーー
世界の銀行間で、共通報告基準
(Common Reporting Standard,CRS)
というものがあります。

2017年から始まった制度で、
海外の非住居者が口座を持つ場合、

現地の金融機関は各国の税務当局
を通じて、相手国政府に、

その口座情報を共通基準で
報告するものです。

CECDが基準を策定しましたが、
世界98か国が参加しており、

匿名性をもった口座で経済を
発展させてきたケイマン諸島や
シンガポール、スイスも参加
していますので、

逃げることはできません。

●個人情報
 氏名、住所、生年月日、居住国、
 納税者番号(日本だとマイナンバー)、
 口座番号

●収入情報
 利子、配当、株・社債の譲渡代金
 などの年間受取総額

●残高情報
 預貯金残高、有価証券残高
 などの口座残高

2018年秋時点では、口座残高
100万ドル以上の個人口座が
対象となり、

口座残高1000ドル以下の小口個人口座
25万ドル以下の法人口座は、
当初は対象外としていました。

今は、もっと金額が下がっていて、
海外口座の残高が5千万円以上ある人は、

税務調査で国外財産証書の提出
を求められます。

ーーーーーー
2.米国の制度、FATCA
ーーーーーー
実は米国はCRSに参加してません。

そのかわり、同じような制度、
外国口座税務コンプライアンス法
(Foreign Account Tax Compliance Act,FATCA)
が2010年から運用されています。

米国政府が、米国籍をもつ
海外銀行の口座情報を、

米国の税務当局(内国歳入庁、IRS)に、
報告を義務づけているのです。

報告義務を果たさない銀行には
ペナルティが課されます。

1,2の制度は、富裕層の税金逃れ
だけではなく、犯罪、テロに
関係するマネーロンダリング
を防止するために、

相当に効果が上がっています。

ーーーーーー
3.今回のニュースを公表したICIJ
ーーーーーー
ICIJは、1997年に設立された組織で、
世界主要国を中心に200人程度の集団で、
それほど大きな組織ではありませんが、

65か国も参加しており、有名な
ジャーナリストも多数参加している
ことから、一定の影響力があります。

2014年、パナマ文書を入手し、
組織的に一気に世界に公開した
ことから、有名になりました。

ーーーーーー
4.ようやく本編
ーーーーーー
1,2,3を事前に理解して初めて、
9月21日のニュースを理解できる
ようになります。

ICIJのHPにある記事をみる限り、
大手銀行の幹部が、

不正の疑いがあると知っていながら
送金を許可させた疑惑がある、

という内容でした。

銀行が主体的にかかわったかどうか
は明記されていませんが、

1999-2017までの期間で、
HSBC,ドイツ銀行,JPモルガンチェース、
スタンダードアンドチャータード、
ニューヨークメロン、などの

名門銀行の口座を使って送金された
疑わしい取引が過去18年間2兆ドルある、
という内容です。

それにより、名指しされた銀行は
株価5%程度の下げとなり、

金融株全体が売られ、ひいては、
市場全体の下げを演出した、
ということになります。

今回の記事には書いていませんが、
記事で名指しされた中では、

HSBCは、2012年にも、
マネーロンダリングの問題で
米司法省に罰金を19億ドル
支払っています。

さらに、

2018年にも外為の不正取引の問題
を起こし、司法省と1億ドルで
和解しています。

スタンダードアンドチャーター銀行は、
2012年に、イランへの送金を報告せず、

営業免許取り消しになりかかり、
6億7千万ドルの罰金を払っています。

おそらく、中国、イランへの送金が
からんだ問題も今回の一連の案件
に含まれているでしょう。

日本への影響は、限定的であろう、
と見ています。

奥村尚

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