前回、過去に4万円寸前まで
到達した時代の
日経平均の歩みを中心に
述べてみました。
1989年当時の日本の経済力は
GDPベースで世界2位。
当時の5位まで上位国が、
G5として会合を開いていたわけです。
ひとりあたりのGDPも世界2位でした。
2024年時点で、日本のGDPは
世界4位(IMF、名目,ドルベース)。
2025年は、ほぼ間違いなく
インドに抜かれて5位に下がります。
ひとりあたりのGDPは、
38位(IMF)で、
OECD加盟国 38か国の中では
下位グループと言ってよい
22位です(IMF,2044)。
こんな体たらくなのだから、
株価はバブルであり、
あっというまに暴落して
おわるのではないか?
というような指摘やコメントを、
ちょくちょく目に(耳に)、します。
いろいろな要素からを見る限り、
そうはならない考えます。
まず、当時の日経平均と、
今の日経平均は、
単位が異なります。
1989年の4万円と、
今の4万円は、価値が異なるのです。
そう、物価です。
日本は、物価が非常に
安定している国の一つでしたが、
まったく上がっていないかというと、
そんなことはありません。
ちょっと、みてみましょう。
物価上昇率は、
CPIの変化で計算しますが、
1989年を1とすると、
2025年は、だいたい1.30です。
(2024年はIMF発表値、
2025年は7月のCPI変化で推計)
つまり、
日本は1989年にくらべ、
30%も物価が上昇しているので、
今の円の価値は当時より
30%目減りしているのです。
とすると、今の日経平均を、
1989年と比べるのであれば、
1989年の日経平均を
30%増やす必要がありますね。
4万円の30%増は5万2千円です。
当時の日経平均は、
今の円価値を考えると、
5万円以上の価値が
あったということです。
まだまだ、1989年のバブル水準には
株価としては到達していない、
と言えるのです。
もうひとつは、世界の金余りです。
パンデミックが起きた2020年以降、
世界中の中央銀行が
経済麻痺を起こさないように、
お金をじゃんじゃん
市場にばらまいてきました。
市場から、あらゆるものを
買いまくって、
市中にお金をばらまいたのです。
何かを買った量は、
中央銀行が買い入れた資産を
見ればわかります。
米国FRBは7兆ドル
日銀は4兆ドル
こんな調子で、
世界中の中央銀行がお金を
ジャブジャブ市中に流して、
いまだに、
多くを回収していないのですから、
お金は有り余っています。
中央銀行が急にお金を吸い上げると、
あっという間に不景気になるので、
少しづつしか回収できないわけですね。
日米だけで、
10兆ドル(1500兆円!)もの金が、
まだ市中に余ってます。
それに、
表に出ない経済のマネーも、
2300兆円もあるとされています。
これは、1989年の時代では
考えられない規模の
マネーなのです。
そうした金の一部は
暗号通貨に回りますが、
メジャーな株式市場にも
回ってきているはずです。
景気のわるい欧州の株でさえ
好調なのですから、
日本株だって人気があるはずです。
他にも、長期金利の上昇による
インパクトなどもありますが、
あれこれ要素をみてゆくと、
日本株が近い将来に
(1990年のような)暴落に
見舞われることは、
考えられない
と観るわけです。

・ジャパンインベストメントスクール講師
・マーケット アナリスト
・マーケットの魔術師
20兆円もの運用資産をもつ米国大手ヘッジファンド株式投資部門スーパーバイザー、自身も日本でヘッジファンドを主宰。日本証券アナリスト協会会員。
1987年、都立大学大学院工学研究科修了(テーマは人工知能)。日興証券入社。投資工学研究所にて、数々の数理モデル開発に携わる。スタンフォード大学教授ウィリアム・F・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)なども手掛ける。
2000年 東証マザーズ上場第一号のインターネット総研で金融事業を統括。
2002年 イスラエル天才科学者とベンチャー企業設立、人工知能技術を商用化し空港に導入。
2004年以降は、金融業界とIoT業界の交点で活躍。最先端の人工知能とアナリストの相場適応力を融合させた投資モデルMRAを完成し、内外の機関投資家に提供する。この投資手法は、最低25%/年以上の収益を「MRAを使う誰にでも」もらたしている(一度も元本割れなし)。
2015年 個人投資家へMRA情報提供開始、さらに投資塾を通してお金の知識を広め、ゆたかな生活の創造に貢献している。
趣味は、オーディオの機械いじり。ワインやウィスキーをたしなむこと。スポーツも好きでスキー、スケートは自称特級(そんなものはない)、エアロビック競技を10年ほどやっている(NAC マスター男子シングル 9連覇中、2014-2016日本選手権千葉県代表)。ただし、「かなずち」であり、球技も苦手である。